「私ね、、、結婚することになったの」
元カノからのライン。
別れてから2年、俺はまだ吹っ切れていない。
順調に付き合ってて、結婚も視野に入れていた元カノ。
急に、好きな人ができたから別れたいと告げられ、そのまま別れる運びになってしまった。
俺は、別れてから2年間ずっと彼女に片思いしている。
他の女性と食事に行くこともあったが、やはり彼女が忘れられなくて付き合うには至らなかった。
女々しいと思われるかも知れない、でも彼女が忘れられない。
そんな彼女が結婚するらしい。
銃で頭を撃ち抜かれるような衝撃だった。
分かっていた。好きな人ができて別れたのだから当然、将来的に結婚はしていただろう。
その相手が俺じゃないことが辛い。
でも、彼女の幸せは俺の幸せなのだ。
だから、俺から彼女へのラインの返しはこうだ。
「どうか幸せに…」
その後、彼女の連絡先は全て消去した。
「幸せに」
私は気付いている。
何気ないふりして彼は、いつも車道側を歩いてくれる。
そんなこと気にしなくても、もう子どもじゃないんだけどね。とは思うけど、やはりちょっと嬉しい。
きっと彼なりに、守りたいと思ってくれてるのだろうと。
不器用だけど、そんな彼にずっとついていきたい。
…いいよね?
彼は照れくさそうに、微笑を浮かべる。
「何気ないふり」
私は病院のベッドの上にいる。
84年、生きてきた。
やはり年齢には敵わないようで、私の体も病気に冒されている。
もう先は長くないのが、医師の見解だ。
実際、私の体はたくさんの管で繋がれており、ようやく生きている状態。
84年…色々あった。
幼い頃は、戦争もあったから貧しかったけど、家族みんなで支え合いながら暮らしていた。
結婚はお見合いだったけど、誠実で素敵な男性とも結婚できた。
子どもも二人できた。
幸せだった…
夫には先立たれてしまったけど、娘と息子は可愛い孫を見せてくれた。
3人の孫もとても可愛い。
もう喋れなくなった私だけど、意識はあり、周りの声はちゃんと聞こえている。
娘や息子、孫たちが感謝の言葉を伝えてくれていたり、親孝行できなかったと泣いている。
「泣かないでおくれ、私はとても幸せな人生だったよ。お礼を言うのは私の方さ。ありがとう、みんな。私は安心して逝くことができるよ。」
「ハッピーエンド」
「初めて人に話すわ。
私は人を殺めた。
きっかけ?そんなの些細なことよ。
ただ、人を殺してみたかった。
人が絶望しながら死んでいく姿を見たかったから。
最低?知ってる。
でも、この気持ちは誰にも抑えられないよ。
あなたには分からないでしょうね…ふふふ。
なによ、そんなに睨まないでよ。
私は完全に遂行したじゃないか。
だから、未解決事件として連日報道されているのよ。
私が捕まるわけないわ。
今日もまた私は一般人として生きるの。
捕まるわけないもの。
でもね、やっぱり人に見つめられると怖いのよ。」
「見つめられると」
心に決めた人がいた。
彼と私は、赤ちゃんの頃から一緒にいた幼馴染。
幼い頃は大きくなったら結婚しよーなんて約束もした仲だ。
だが、彼は私たちが小学3年生の頃に転校してしまった。
「必ず、迎えに来るから」
そう約束して、彼は遠くへ引っ越して行った。
ある時までは手紙や年賀状でやり取りしていたが、いつの間にか連絡を取り合うこともなくなってしまった。
彼は私のことも忘れてしまっただろう。
そう思いながら日々を過ごしていた。
高校生になって彼氏を作ってみたりして。
でもやっぱり幼馴染のことが忘れられず、長続きはしなかった。
大学進学をきっかけに、私は上京した。
新しい環境での新生活。
私はいつしか彼のことを忘れてしまっていた。
毎日勉強して、バイトして、友達と遊んで、時が来てからは就活して…
お陰で、いい就職先も見つかった。
忙しくも充実した大学生活は一瞬で終わったように感じた。
卒業式の帰り、駅に向かって歩いていると、懐かしい姿が見えた。
「迎えに来たよ、卒業おめでとう」
そういう彼の手には大きな花束。
「もう…遅いよ…」
私は泣いていたと思う。
私の心は、やっぱり彼のことを忘れられずにいたんだ。
私と彼は手を繋いで駅のホームへ向かった。
「My Heart」