こかぴ

Open App
10/4/2025, 11:30:18 PM

「今までありがとう。幸せになってね」

彼女は目にいっぱいの涙を浮かべながら小さくそう呟く。
甘えん坊で泣き虫な彼女。
いつもならすぐに抱きしめるのに、もうできない。

元彼女は、後ろを向き駅へと歩いていく。
どんどん小さくなる背中を見ることしかできなかった。

僕の海外赴任さえ無ければ、こうなることはなかったのに。
断れば良かったのかな。
後悔ばかりが押し寄せる。

でも元彼女もこの地でやりたいことがある。
僕も海外の地でやりたいことがあった。


僕も帰ろう。
帰って、引越の準備をしなくては。

でも、今日だけは許してほしい。
家に着いて、僕は一晩中泣き明かした。



「今日だけ許して」

10/3/2025, 1:45:25 PM

海を散歩してると、少し薄汚れたガラスの瓶を見つけた。
汚いなぁと思いつつ、気になった私はガラスの瓶を拾ってみた。

中には、1枚の紙が入っている。

「見知らぬ誰かさんへ

この手紙を見つけてくれてありがとう。
毎日病院で暇だから、この手紙を書いています。
僕は病気でもう長くはないみたい。

このまま死んでいくのはいやだ。
死にたくない…

この手紙を読んでくれた誰かさん、

僕と一緒に逝こうよ」


私は思わず紙を投げ捨てた。
もう、なんなの…
せっかく気分よく散歩してたのに。


その日からだ。
視線を感じるようになったのは。

最初は少しの違和感だったのが、今はすぐ近くに感じる。


今も目の前に…


いやだ…死にたくない……よ………



「誰か」

6/23/2025, 12:42:57 PM

はぁ…なんで私はこんなことしてるんだろう。
フリーターで毎日ギリギリの生活。

もう夢を諦める頃なのかな。

私は、子供の頃からアイドルになることを夢見てきた。

昔から可愛いねとたくさんの人に褒められ、高校の時には文化祭のミスコンで賞も取った。
可愛くなる努力も必死に続けてきた。
太らないように食事にも気を付けてきた。

でも、現実は厳しくて。
せっかく東京に出てきたのに、意味ないじゃん。

子供の頃の夢を叶えるのは楽じゃない。

もう、諦める時なのかな。
でも、諦めたくないの。

次のオーデションこそは………



「子供の頃の夢」

6/23/2025, 3:51:24 AM

なんで私を置いていくの。
もう何年も連れ添ってきたのに。

実家を出る時だって、無理して選んだ家。
全部君のためだった。

でも、仕方ないのかな。
もう17歳になった愛猫の君。

まだ一緒にいたかった。

どこにも行かないで、これからもそばにいてよ…



「どこにも行かないで」

6/21/2025, 8:48:07 PM

難関と言われる高校に合格した。

ずっと野球に打ち込んできた僕の成績は平均的で、合格は厳しいと言われた。
三者面談では、両親と先生の両方に現実を見ろと言われた。

でも、僕はめげずに勉強を続け、合格した。

野球部のマネージャーを務める先輩の背中を追って。

彼女が卒業する時、僕は告白した。
君は
「私と同じ高校に入学できたら、いいよ」
と微笑んだ。

彼女は僕の成績を知ってて、そう言った。
きっと付き合う気はなかったからそう言ったのかも知れない。

「先輩。僕、合格しましたよ」

彼女は目を丸くして僕を見ている。

でもすぐに微笑んで

「1年間、信じて待ってたよ」

同じ高校に来るよう伝えたのも、離れ離れになるのが寂しかったから…と後でこっそり教えてくれた。

今では、野球部内で公認のカップルとなっている。

君の背中を追って、頑張って良かった。



「君の背中を追って」

Next