今日は久し振りの外出。
在宅ワークで、食材の買い物もネットスーパーで済ませてるから、外出する機会なんてほとんどない。
そんな私がどうして久し振りに外出するのかって?
さて、どうしてでしょうね?
久し振りの外の空気は気持ちがいい。
駅まで徒歩10分。
近いような遠いような。
電車に揺られて30分。
だいぶ都会に来た気がする。
ここから歩いて3分。
待ち合わせの場所へ着いた。
彼は、来るのがいつも早い。
にこやかに手を振っている彼の顔を見るのはいつぶりだろう。
もう半年は会ってなかったと思う。遠距離恋愛だしね。
久し振りの彼に会うため、私は精一杯オシャレしてきた。
この季節によく合う色のワンピースに、今日は帽子も被ってみたりして。
「今日も可愛いね。ワンピースと帽子の相性もいいね。よく似合ってるよ。」
彼はいつも褒めてくれるから、自信が持てる。
今日は楽しい1日にするぞー!
「帽子かぶって」
「あらまぁ、こんなに熱あるなら学校はお休みだねぇ。」
私の体温を測った体温計を眺めながら、母がそう呟き、部屋を出て行った。
ずっと風邪なんて引いてなかったのに…
こんなに辛かったっけ…
そんなことを思いながら、自室のベッドで横になっていた。
横になっているうちに、眠ってしまっていたらしい。
時刻は、11時30分。
コン、コン
部屋をノックされた。
「はーい」
返事をすると、母が入ってきた。
「食欲はある?少しでも良いから、何か食べなさいね。これ、置いていくから」
そう言い残し、お粥やプリンを置いていってくれた。
久し振りに食べる母のお粥。
こっちのプリンは手作りみたい。
そういえばこのプリン、私がまだ幼かった頃、風邪を引いた時よく作ってくれてたっけ。
懐かしい…
ふとスマホを見ると、何件かラインが来ている。
「早く良くなってね!」
「寂しいぞ〜!待ってるからね〜!」
親友たちからの連絡だった。
私は周りから愛されてるんだ…。
体は辛いけど、心は温かくなった。
早く風邪治して、お母さんにプリンの作り方聞いて、親友たちにプリン作ってみようかな。
「風邪」
今年の積雪は遅い。
もう12月も中旬なのに、少し降っては溶けてを繰り返している。
私は雪が積もるのは憂鬱だが、愛犬のハスキー、イオが雪を待ち侘びている。
いつもの散歩時間はおよそ1時間程度。
雪が積もると2時間。それ以上の日もある。
イオは外が寒くなってくると、ソワソワし始める。
「イオ、雪はまだだよ(笑)」
私がそう声をかけると、少し寂しそうにクゥーンと鳴く。
イオと家族になるまで雪が憂鬱だった私だが、イオと過ごすようになってから私も雪を待つようになった。
また雪が積もったらいっぱい遊ぼうね、イオ。
「雪を待つ」
私は鳥籠の中の鳥。
ペットショップで飼われ、この家にやってきた。
お父さん、お母さん、女の子の3人家族。
お父さんはあんまり家にいないけど、女の子は私をよく可愛がってくれた。
ご飯で困ることもないし、時々鳥籠から出してくれる。
この家は広いから、飛びがいがある!
でも、外を飛んでる鳥を見ると、私も大空の下を飛んでみたいなって思ってしまうんだ。
「夢見る心」
「今年もやっと咲いたねー!」
満開の桜を見て、隣で喜ぶ彼女。
こうして二人で花見に来るのは、7回目。
僕らはちょうど7年前の3月末、僕からの一言がきっかけで付き合うようになった。
僕は彼女のことが好きで、それは今も変わらない。
だから、付き合えた時はとても嬉しかった。
毎年、記念日には思い出の場所に来て花見を楽しんでいる。
だが今年は開花が遅れ、4月になってから咲き始めた。
咲くまで行くよ!という彼女に連れられ、毎週ここに足を運んでいた。
3月中に咲くことはなくて、4月になってからもここに来てるってわけですよ。
僕はまだ心の準備ができてなくて誘えなかったが、彼女が誘ってくれたから勇気が出た。
「今年も一緒に見られて良かったよ、いつもありがとう。今日は、プレゼントしたいものがあってね…」
「あら、奇遇だね!私もプレゼントがあるの!」
僕が彼女に渡したプレゼントは、婚約指輪。
彼女が僕にくれたプレゼントは、かけがけのない新しい命だった。
風で桜の花びらが宙を舞う。
やっぱり、春って最高…
僕は今、桜の花びらに包まれながら、幸せを噛み締めている。
「春爛漫」