「なんで僕のせいにするの」
帰宅途中の私は
急に目の前に現れた少年にそう言われた
迷子だろうか
「どうしたんだ? 誰も君のせいになんかしてないよ」
「嘘だ、僕は見てきた。
皆、何もかも、全部僕のせいにするんだ。」
少年は真っ直ぐ、私の目を見てそう言った
困ったな、ちょっと厄介な子どもだ
私はこういうのを扱うのに慣れていないというのに
ここは面倒だし、適当に流しておこう
「まあ。なんだ。
多分、今まで見てきたのは君に対してじゃない。
神様だ。皆神様に対して言ったんだ。
上手くいかなかった時とか
運が悪かった時とかによく言うだろ?
きっと神様に対して言ったんだよ」
……適当すぎただろうか
しかし、少年は「そっか」と笑い
私を通り過ぎて、どこかへ行ってしまった
良かった
少し心配したが、何とかなったようだ
私はその後、そのまま家へ帰った
コーヒーと、今日買ってきたクッキーを食べ
ゆったりとした時間をくつろいだ
暇だしテレビでも付けよう
私は絶妙に遠いリモコンを何とか取り
テレビを付けた
……ジジ……
「『速報です。ただいま、直径10kmの隕石が落ちて来ていると速報が入りました。あと3時間程で大気圏に突入すると予想されており___』」
「……は?」
はは
はは、なんだ、今日はエイプリルフールではないぞ?
はは、はは
そうか、きっとこれも神様の仕業だ
神様を怒らせるなんて
誰がそんなことをしたんだか
罰当たりな奴だ
きっとそいつは地獄にでも落ちて
神様に裁きを与えられるのだろう
無間地獄に堕ちて
永遠に苦しむんだ
「ああ!! 可哀想に!!」
私はコーヒーカップを膝に落とし
ただひたすら笑うことしか出来なかった
誰かのためになるならば
そう言ってあなたは
この私を置いていったね
君はいつも自分の周りにあるものを見落とす
遠くを見るのも良いが
たまには身の回りも見て欲しいものだ
今の私は
君のせいで
手に届くはずのない星を見つめている
元々星なんて好きじゃないのにさ
もし
もしも君が流れ星となった時は
私のために
私の元に落ちてきてくださいね
一つの鳥かごを見つけた
中は空のようだ
パッと見たところ
鳥かごは、元の色が分からない程錆び付いて
開けたままのドアは、キィキィと音を鳴らしている
ここにいた鳥は
中で息絶えてしまったのだろうか
それとも
今でも外で飛び回っているのだろうか
この鳥かごを見ただけの私には
何も知る由もなかった
しかし、
もし、その鳥が今でも生きているのであれば
強く、自由に生きていて欲しいと思った
友情というのは
双方が感じて初めてできる物だと思っている
私は人の粗を認めることが難しい人間だ
人間、誰しも粗はある
もちろん私も例外ではない
人は距離が近ければ近いほど、
共にいる時間が長ければ長いほど
良くも悪くも、色んな特性が見えてくる
私は、そこで見つけた粗を認めることが出来なかった
今までで仲が良かったと断言できる人は
正直居ない
理解し合えないことを認められないのだから
しかし、それでも私のそばに居てくれる人がいた
相容れないながらも、離れないでいてくれた
そこに友情があったのか、無かったのか
私には分からない
それでも、その近くにいてくれたという事実だけで
私は、とても嬉しく思う
雨上がりの空
地面は湿り、空は真っさらに澄んでいた
黒い雲は徐々に遠くへ行き
眩しい太陽は、辺りの水滴をキラキラと輝かせている
爽やかな青空は、水たまりに反射して
一面を青く染めていた
ふと足元を見てみると
一輪の、黄色いタンポポが咲いていた
花弁の一枚一枚には大きな水滴がついている
水滴には一面の青空が広がっていた
水滴の一つ一つに、それぞれの空が丸っと映っていた
この世界は青かった
しかし、タンポポは
一輪でありながら、全ての青を包み込むように
元気な黄色をただ一人、輝かせていた