まそむ

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11/13/2025, 10:10:52 AM

どうかどうか、神様がいたら、叶えてください。
父がお酒を飲んで怒鳴らない夜をください。
お兄ちゃんが殴られない夜をください。
何時間も何時間も、地獄が続くのを止めてください。

小学生のわたしは毎日日記に記録しながら祈っていた。

今日もお兄ちゃんは殴られた。
今日も。
今日も......。

祈りはおまじないにカタチを変えた。
小さい子向けのおまじないブックを睨んだ。

でもおまじないは効かない。
母は父を止めない。
わたしはお兄ちゃんを助けられない。

祈りの果てに、諦めることを覚えた、小学生の頃。

【祈りの果て】

11/12/2025, 10:38:55 AM

わたしに反抗期はなかった。
今は天国にいる父の支配下で、恐怖に怯えながら生きてきた。

だから心が迷うことはなかった。
だって、わたしの趣味も、希望も、夢も、進路も、全部全部、父が決めるんだから。
わたしは言いなりになって、良い成績をとって、顔色を窺って生きてきた。

「それ、おかしいよ」

大学時代の級友が教えてくれた。

「あなたの人生はあなたのものだよ。支配される言われはないよ」

わたしは初めて迷った。結果、家出をした。
父から大学だけは出てくれと言われて学費と仕送りは貰えた(バイトは許されなかった)。
一人で暮らして、レタスすら買い方を知らない自分にようやく気づけたのだ。

【心の迷路】

11/11/2025, 10:25:19 AM

僕のお気に入りのティーカップは、とても素敵な、例えるとアール・ヌーヴォーな感じの柄で、そこそこ良いものらしい。勿論ソーサーとセットだ。更に、カップに合うデザインの金色のスプーンまでついている。

お祝いごとの引き出物で頂いたので、一人暮らしなのに二脚あるけどね。
あるけれど、訪ねてくる人のあてが無くて、一脚は棚の奥にしまいっぱなしだ。

その封印を解く時が来るとは思っていなかった。
まさか僕に、パートナーが出来るなんて。

使い込んだ僕のカップを、重曹で洗う彼女。こうすると茶渋が落ちるのよ、と、新品のようにピカピカにしてくれる。

その後二人で頂いた紅茶はとても美味しかった。
彼女の焼いてくれたクッキーもサクサクで、紅茶も良い香りで、僕は胸いっぱいに幸せを噛み締めていた。

【ティーカップ】

11/10/2025, 11:18:27 AM

ひとりで暮らしている時、わたしは絵を描き、文章をしたためて、バイトに行って帰って、玄米中心の食事をして風呂入って洗濯して、と、まあそんな生活だった。週に二回ほど散歩に行き、たっぷり五時間くらい歩いた。

寂しいと感じることは余りなかった。

でも、手を酷使し過ぎたのか、頸肩腕症候群を患った。ある時急に腕に電気が走り、痛くてペンを取り落とした。整形外科を渡り歩いた。病名がつくまでに何年もかかった。

今でも腕は不自由だ。指先はうっすらと麻痺しているし、グーパーはできない。握力もない。
絵が描けない。字が思うように書けない。箸が、歯ブラシが、うまく使えない。

まるで翼をもがれた鳥のようだ。病を患って、わたしはやっと寂しさを覚えた。

【寂しくて】

11/9/2025, 10:09:33 AM

わたしはXジェンダーのアセクシャルである。
簡単にいうと性別自認が不明で、性欲と恋愛感情がない。
この用語を知る前から、なんとなく自分は人と違うと感じていた。

いつか女性になれるのではないかと夢を見た小学生時代。
中高では永遠に変声期前の少年と教師に評された。
自分は女性じゃないから、女性下着売り場に行けなかった。そこには明らかに境界線があったのだ。

大人になって、実家を出るために結婚して、そのあとに自分のセクシャリティを知った。結婚は友婚の感覚だった。

自分がマイノリティと知ってから、ある意味心の境界線があって自然だと感じられるようになった気がする。

【心の境界線】

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