うどん巫女

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8/11/2023, 9:03:38 AM

終点(2023.8.10)

特になんというわけでもない夏の日。いつも使っている路線の、終点まで乗ってみた。
見慣れた景色がだんだんと遠ざかり、知らない誰かの日常が車窓に流れる。
いつもなら、ここには存在しない自分。いつもなら、自分にとって存在しない風景。まだ見ぬ世界への、不安と期待を抱えながら、終点を待った。
終着駅へ降り立つ。なんの変哲もない、山際の閑散とした駅。それでもやっぱり、自分にとってはなんだか異世界に来てしまったようで。
それ以来、終点まで行ったことはないけれど、今でも目を閉じると、あの得体の知れない静謐さがまざまざと蘇ってくるのである。

8/10/2023, 10:02:30 AM

上手くいかなくたっていい(2023.8.9)

月並みな言葉だけどさ
努力は必ずしも報われないけど、努力しなきゃ報われないんだ
僕たちは、限りなく大きな世界に生きていて、限りなく、さまざまな人と暮らしている
その中で、優劣がつくのは仕方ないし、どんな期待にも応えようだなんて、もともとできっこないんだ
結局、なにごとも、完璧にできなくたって、上手くいかなくたっていいんだ
努力は報われなくても、努力した分だけ大きくなれる
…って、これもやっぱりどこかで聞いた話だけど
ま、気楽にいこうよ、失敗の積み重ねが人生なんだからさ

8/9/2023, 8:41:53 AM

蝶よ花よ(2023.8.8)

へぇ、私の言葉がわかるなんて、変わった人間もいたもんだね。私が何者かって?見たらわかるだろ、蝶々だよ、あんたらで言う「アゲハチョウ」ってやつ。羽が綺麗だって?あぁ、ありがとね。
それはそうと、あたしあんたら人間にひとつ言ってやりたいことがあるんだよ。「蝶よ花よと育てられる」、この言葉は絶対におかしいね。だってあんたら人間は蝶も花も愛でたりしないじゃあないか。あたしら蝶々が飛んでたら顔を顰めるし、蛾に対してなんてもっとひどい態度だ。それに、花だってやたら桜やらコスモスやらは褒め称えるくせに、道端の小さい花なんかには見向きもしない。挙げ句の果てに、せっかく咲いた花を引っこ抜いたり切り落としたりしてる。これのどこが「蝶よ花よと育ててる」のかね。全く、おかしいったらありゃしないよ。
あー、すっきりした。くだらない愚痴を聞いてくれてありがとね。あたしらが普段なにか考えてても、人間にはちっとも伝わらないからさ、ついぐちぐち言っちまったよ。
さて、忌々しい鳥どもが来る前にそろそろお暇しようかね。じゃ、またね。

8/8/2023, 5:16:33 AM

太陽(2023.8.6)

これは昔何かの本で読んだ話だが、太陽の絵を描く時に、日本の子どもは太陽を赤く塗りつぶすのに対し、ヨーロッパや他の多くの国々の子どもは太陽を金色や黄色で描き表すらしい。色の見え方は人によって異なる上、気象条件なども全く異なるであろう国々の間でそういった違いが生まれるのはある種当然のことではあるが、やはり私は生粋の日本人であるからして、あの慈悲深く、それでいて近づくもの全てを焼き焦がす無慈悲さを持った太陽には、畏敬を込めて真紅という色を贈りたいと思うのである。


最初から決まってた(2023.8.7)

「ごめん、別れよう」
たった八文字で、彼は私との三年間をなかったことにした。その言葉と、彼と私のツーショット写真を背景にしたメッセージ画面はあまりに対照的で、皮肉なものだった。
……いや、最初からこれは決まっていたことなのだ。彼が本当に好きなのは彼女で、密かに育ちつつあった恋心が実る前に、彼女は別の人と付き合ってしまった。その傷心の彼につけこんだのが、私だった。だから、彼女が再び身軽になった今、彼にとっての私は全くの無価値なものに成り下がったのだ。
分かってはいたけれど、それでも悔しかった。私は彼のことを本当に想っていたし、彼の隣に立ち続ける努力を欠かしたわけでもなかった。それなのに、それなのに……。
普段は飲まない強めの酒を一気に呷る。明日はきっと二日酔いで前後不覚だろう。それでいい。それがいいのだ。全て忘れてしまえ、馬鹿な私よ。
久しぶりに飲んだウイスキーは、なんだか塩辛い気がした。

8/6/2023, 9:10:05 AM

鐘の音(2023.8.5)

「鐘の音」と一口に言っても、教会にあるような西洋の鐘と、日本の寺院にあるような和風の鐘がある。一般論ではあるが、西洋の鐘には祝福のような意味合いが、和の鐘にはしみじみとした感傷がこもっているような気がする。どちらも同じ「鐘」で、宗教施設にあるものではあるが、それぞれの鐘の音にあそこまで感じ方の違いがあるのは、西洋と日本の宗教観の違いによるものなのか、どうなのか。

鐘の音というテーマに何も思いつかないものの独り言である。

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