うどん巫女

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終点(2023.8.10)

特になんというわけでもない夏の日。いつも使っている路線の、終点まで乗ってみた。
見慣れた景色がだんだんと遠ざかり、知らない誰かの日常が車窓に流れる。
いつもなら、ここには存在しない自分。いつもなら、自分にとって存在しない風景。まだ見ぬ世界への、不安と期待を抱えながら、終点を待った。
終着駅へ降り立つ。なんの変哲もない、山際の閑散とした駅。それでもやっぱり、自分にとってはなんだか異世界に来てしまったようで。
それ以来、終点まで行ったことはないけれど、今でも目を閉じると、あの得体の知れない静謐さがまざまざと蘇ってくるのである。

8/11/2023, 9:03:38 AM