あなたの瞳に映るのは自分だけがいい。
なんて、そう思ってしまう。
あなたには幸せでいて欲しいと、そう願っている。
だけど、あなたにだけは負けたくない。
置いて行くだなんて許せない。他の人といる、自分の知らないあなたを見ると、胸がざわつく。
向こうよりも、もっとこっちを見ていてほしい。
自分だけを見ていればいい、あなただけが自分の知らないところで幸せにならないで。
この感情には、何と名前を付けるべきだろうか。
恋か、愛か、それとも────
【6月4日 恋か、愛か、それとも】
あのとき、君との約束を果たすことが出来なかった。
今でも後悔の気持ちが残っている。
だから、今度こそ、今度こそは失敗したくない。
君を悲しませたくはない。君には笑っていてほしい。
今度こそはきっと上手くやってみせる。約束だよ。
【6月3日 約束だよ】
今にも肩と肩が触れてしまいそうな距離を並んで歩く。
傘を握る手に少し、汗が滲んだことに気付かない振りをした。まさか自分がこんな状況に置かれるだなんて思ってもいなかった。
何も言わず、ただ前を向いて歩いている君は、いったい何を考えているんだろうか。なんとなくその横顔を眺めていたら、ふと目が合った。
君の口がゆるやかな弧を描く。
気付けば、さっきよりも近くに顔があった。
一瞬、睫毛が触れる程に近付いて、また直ぐに離れる。
誰にも見えないから良いでしょ、と言った君は悪戯っぽく笑っていた。
【6月2日 傘の中の秘密】
ずっと止まない雨が降り続けていた。もう自然と止むことは無いのだろうと思っていた。
こうするしか仕方がなかったとは言えど、それだけのことをした自覚はあった。
だから、もう自分を終わらせようと思っていた。
だけど、君が現れた。
雨雲を押しのけて太陽が顔を出した。
きっと君は何も知らないんだろう。でも、純粋な顔でこちらを見てくる君に応えたいと思って、自分を終わらせるのはやめた。
いつか君は全てを知ってしまうだろうけれど。
もしかするとここから離れてしまうかもしれないけれど。
それでも良いから出来るだけの事をしよう。
君の前でだけは、白く輝く自分でいたい。
そう思った頃には、雨上がりの虹がかかっていた。
【6月1日 雨上がり】
いつも何か張り合っているような気がする。
勝ち負けなんてない、大したことではないのに、なんだか納得いかないモヤモヤとした気持ちがあるから。
喧嘩をしたいわけでもないのだけれど、思ってもいないようなことをつい言ってしまう。
だけど、これは嘘じゃない。
あなたにだけは負けたくない。
【5月31日 勝ち負けなんて】