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今にも肩と肩が触れてしまいそうな距離を並んで歩く。
傘を握る手に少し、汗が滲んだことに気付かない振りをした。まさか自分がこんな状況に置かれるだなんて思ってもいなかった。

何も言わず、ただ前を向いて歩いている君は、いったい何を考えているんだろうか。なんとなくその横顔を眺めていたら、ふと目が合った。

君の口がゆるやかな弧を描く。

気付けば、さっきよりも近くに顔があった。
一瞬、睫毛が触れる程に近付いて、また直ぐに離れる。

誰にも見えないから良いでしょ、と言った君は悪戯っぽく笑っていた。

【6月2日 傘の中の秘密】

6/2/2025, 12:42:40 PM