君の言葉が消えたとき、僕は気づいたんだ。君に恋をしたってことに。
それは特別なものを発見したような新鮮な感覚だった。
天使の僕だって幸せに浸っていたいと思うものさ。
だから、僕はお父様に内緒で、時を止めることにしたんだ。
その瞬間、君の可愛らしい唇は少しだけ斜めに上がって、周りの景色はひどく歪んで見えた。
空間が重力に押し潰されているかのように。
時を止めるのはやはり禁断だった。それで、その一瞬の後、僕は時を元に戻した。
幸せって有限なんだなとしみじみ感じている。
「時を止めて」
ペターポのママが風邪をひいて熱があるので、今日はパパが朝食を作ってくれた。大好きなチーズ入りオムレツだけど、ちょっとパサパサ。それにココアにハチミツが入っていなかった。
ペターポは、いつもの味じゃないことに少しガッカリしながらも、ママがいつも美味しい料理を作ってくれていたことと、慣れないお料理を頑張っているパパの気持ちにちゃんと気付いた。
「パパ♡オムレツごちそうさま〜」とパパに言って、ママのお部屋にお水を持って行く。
「ママ♡風邪早く良くなってね。僕ね大きくなったらママにバースデーケーキを焼いてあげる」
愛を感じることで、ペターポも愛を与えられるようになる。
小さな愛は、どんどん広がっていく種のようだね。
温かい日常には、小さな愛が溢れている。
「tiny love」
僕は透明人間になれるんだ。表面も裏側も透き通っててさ。
お仕事はサービススタッフ。
心を込めたおもてなしは、さりげなくあるべきと思ってるんだよね。
過剰で大袈裟なおもてなしは、真の優しさではないでしょ。押し付けっぽくって鬱陶しくないかい?
透明人間である僕の優しさは、そっとしたものだから、誰かを疲弊させることがないのさ。気遣いに表も裏もないんだ。
御饗しに表裏なしさ。
「おもてなし」
アガサクリスティファンの僕は学生割引を利用して、アガサの執筆ゆかりの地イスタンブールをこの10月に訪れた。
その地で「ナザルボンジュ」と呼ばれる、美しい青いガラスのお守りを手に入れた。
これは、今まさに駆け出しのミステリー作家として名前を知られるようになった憧れの先輩である波瑠さんへのお土産だ。
彼女は、今年ぺラパレス新人文学賞を受賞したばかり。
持つべきものを持たぬ者の嫉妬は、どうしても静かな激しさで胸を襲うものだ。
このナザルボンジュは、その嫉妬の視線から彼女を守ってくれるという。
かくいう僕の心にも彼女へのモヤモヤした思いが、青い焔のように光っているのだ。
「消えない焔」
☆創作
アビシニアンの僕は家中をはちゃめちゃに跳び回りたくなる時がある。
イザベラさんに叱られるだろうってことは、草原のように広がっているよ。
それは、経験の蓋を開けて目の前に広がる草原さ。
だから、飛び回った後は、お部屋をはちゃめちゃしたのは誰?って顔をしてみせるのさ。
そうするとイザベラさんは仕方ないわねと、クスッと笑ってくれる予感がしないでもない。
「予感」