récit

Open App
10/25/2024, 12:09:28 AM

思いきって、憧れの彼女をデートに誘った。

「今度の日曜、あの話題の映画を観に行こうか。
考えてみてほしい。
この街の映画館で大きなスクリーンがきっと君を待っている。
君が来たければ来ればいい。あるいは気が向かなければ、来なくても全然構わないさ」

彼女は少し考えたのち
「観たいけど、あなたとは行かないでおくね」
と返事した。

秋の風が淡々と吹き抜けるようだった。

「行かないで」

10/24/2024, 2:28:26 AM

昼食のあと秋の透明な青空を見上げ、僕はぽつりと呟く。

「さよなら青春」
思わず自分の言葉にクスッと笑ってしまった。

目を閉じると「青」がすとんと心に落ちた。
その青は、深く鮮やかな宇宙のようだ。

僕は強くなれる自信はないけれど、せめて思慮深い人間になりたいと願った。

どこまでも続く青空を感じることで、少しだけ自分を見つめることができた。

「どこまでも続く青い空」

10/22/2024, 11:15:24 PM

ペターポのママは、いつもオシャレで素敵だけど、服のアイテムは実は少なめなんだ。

彼女は何点かあるボトムスの中からその日の気分にぴったりの一着を選ぶと、あとはシルエットと素材を考えて全体のコーディネートを作り上げていく。

服はあまり増やしたくない彼女にとって、衣替えは季節の変わり目の整理整頓だけではなく断捨離の時間なのだ。

その過程で、捨てたくなってもすぐには処分しない。
面倒だからメルカリを利用することもない。

着なくなった洋服は、ペターポのドゥドゥぬいぐるみの服にリメイクしている。

彼女は無駄にすることなく大切に手を加えて、自由な発想を楽しんでいる。

「衣替え」

10/20/2024, 11:55:10 PM

物語は大概はいつも足し算から始まる。
時には失うという設定でさえ足し算することもある。
いろいろと必要な要素が積み重なっていく。

失敗と成功が掛け算のように関係し合う。
時間の経過は割り算のように影響し思考を悩ます。

物事が増えれば増えるほど、世界は複雑になり、マイナス要素も顔を出し何かと飽和状態になってくる。

そんな時は手放すために、いくつかの荷物を引き算するのだ。

結局、人生や物語とは大体そんなふうに進んでいくものなのかもしれない。

「始まりはいつも」

10/19/2024, 1:13:18 PM

季節と季節がすれ違うように、気づけば愛は静かに薄れていく。

君が春の花を見つめるとき、すでに秋が訪れ足音も遠ざかる。

君が夜明けに窓に立つとき、夕暮れの鐘が悲しく耳に響いていた。

それでも愛した軌跡の影は美しく残されている。

「すれ違い」

Next