ペターポのママは、いつもオシャレで素敵だけど、服のアイテムは実は少なめなんだ。
彼女は何点かあるボトムスの中からその日の気分にぴったりの一着を選ぶと、あとはシルエットと素材を考えて全体のコーディネートを作り上げていく。
服はあまり増やしたくない彼女にとって、衣替えは季節の変わり目の整理整頓だけではなく断捨離の時間なのだ。
その過程で、捨てたくなってもすぐには処分しない。
面倒だからメルカリを利用することもない。
着なくなった洋服は、ペターポのドゥドゥぬいぐるみの服にリメイクしている。
彼女は無駄にすることなく大切に手を加えて、自由な発想を楽しんでいる。
「衣替え」
物語は大概はいつも足し算から始まる。
時には失うという設定でさえ足し算することもある。
いろいろと必要な要素が積み重なっていく。
失敗と成功が掛け算のように関係し合う。
時間の経過は割り算のように影響し思考を悩ます。
物事が増えれば増えるほど、世界は複雑になり、マイナス要素も顔を出し何かと飽和状態になってくる。
そんな時は手放すために、いくつかの荷物を引き算するのだ。
結局、人生や物語とは大体そんなふうに進んでいくものなのかもしれない。
「始まりはいつも」
季節と季節がすれ違うように、気づけば愛は静かに薄れていく。
君が春の花を見つめるとき、すでに秋が訪れ足音も遠ざかる。
君が夜明けに窓に立つとき、夕暮れの鐘が悲しく耳に響いていた。
それでも愛した軌跡の影は美しく残されている。
「すれ違い」
気持ちのいい秋晴れの日、
イケメン猫とフェニックス君は、紅葉を見たくて車を走らせた。
ドライブ中に、空高くに見えたのは秋太りしたペガサスさんだ。
ペガサスさんは、山々の木々に赤やオレンジ、黄色の絵の具を一生懸命に届けている。
最近ちょっと太り気味のペガサスさんはダイエット中だけど体がいつもより重くて、今年は絵の具の配達が遅れてしまったらしい。
そこでイケメン猫とフェニックス君も大忙しのペガサスさんのお手伝いをすることにしたんだ。
そして山々が美しい秋色に染まると、イケメン猫たちも嬉しくなって紅葉狩りをたくさん楽しんだのさ。
「秋晴れ」
天界から地上に降りたイケメン猫は忘れられない恋もした。
その記憶はイケメン猫を形成する大切なかけらであり、アイデンティティの一部になっている。
もし、天界に戻ったら思い出はまるごと消えてしまうのだろうか。
そしたら、イケメン猫は今の自分ではなくなってしまうのだろうか。
消えゆく時間について考えを巡らせていると、イケメン猫は無性に切なくなるのだった。
「忘れたくても忘れられない」