渇きが生み出した世界観の中でそびえる壁は、空気の塊から出来ていた。
あらゆる力で押してみても引いてみても、それは微動だにしなかった。
形なきものは、実に強靭であると同時に複雑で厄介なものとして存在する。
「力をこめて」
時の風が置いていくものは記憶。
あの日の出来事を想い返すことは、過去の自分との再会のようだ。
過去には解決できていないこともあるけれど、過ぎた日を見つめることで、これからの自分の姿を見つける手がかりになることもある。
人生の行路において出会った人々や出来事を振り返ることは心に余韻を残し、
それは生きるための熱源のように力づけてくれる。
「過ぎた日を想う」
14歳の僕は、頭と心臓にドラムが鳴り響いているような恋をしていた。
だから安らぐ夜空を眺めたくて、外に飛び出していた。
悲しみや喜びが交差する星座の物語を、ゆっくりと読み取っていたんだ。
だって、僕とあの子もいつか離れ離れになってしまう。
さざ波のように、少しずつ離れていくんだ。
だけどそれも今は思い出。
誰もが前に進む物語になるんだ。
「星座」
☆創作
妖精がジェルブロワの秘密の庭をふわふわ漂っていた。
夢の中を彷徨うように。
家の窓辺では、丸くなって寝たふりをした賢い猫がその様子を薄目で見つめていた。
妖精は、
「ボンソワール、賢い猫さん。今宵一緒に踊りませんか?」
とふわふわと声をかける。
賢い猫は、
「いいね、ちょうど今音楽が降ってきたところだよ」
と神秘的な緑の目を向けて身を起こす。
それから妖精と賢い猫はふわふわ踊り始める。
風に乗る旋律が、庭に咲く秋薔薇の香りと深い緑を包み込む。
秋薔薇の棘は、秘密を隠すように二人の踊りを見守っていた。
「踊りませんか?」
僕は砂漠のメリーゴーランドに乗って思う。
この奇跡の星の地球には自然の摂理が存在している。
その摂理を理解すること自体が一つの奇跡なのかもしれない。
それなら奇跡は回転して巡る。
美しい地球の景色を目の前にして、僕らが人生の摂理、つまり愛だの幸せだのを見出すことができれば、それもまた奇跡と言えるだろう。
心の準備が整った瞬間、奇跡は再び訪れる。
「奇跡をもう一度」