イケメン猫の僕が暮らす街は、美しい海岸でサーフィンやお散歩を楽しむ人たちでにぎやかなんだ。
時々涼しい風が吹いてきて、僕は日傘をさして波の音を聴きながら、ちょっとだけ太陽とお友達になるんだよ。
周りには豊かな緑が広がっていて清々しい景色を眺めながらお散歩できるのが嬉しい。
そして、歴史ある有名なお寺が点在してるから日陰もたくさんあって、まるで安らぎのオアシスみたいなのさ。
お散歩に疲れたら僕は「お日さまカフェ」っていう、落ち着いた雰囲気のお店で、こだわりの自家製シロップを使ったかき氷を楽しむんだ。
太陽愛のマンゴーともちもちの白玉がたっぷりのっててほんとに美味しいんだ。
「太陽」
ジョバンニはストレーザの街を歩いていた。
するとどこか遠くからやわらかく心地よい響きが耳に届く。
まるで夢の中で聞こえてくるような幻想的な響きだ。
それは、太陽の鐘楼の鐘の音だった。
新しさと懐かしさが入り混じる不思議な音。
時には艶やかな幸せの福音として明るく響き渡り、
時には深い心に寄り添う慰めの声として柔らかに包み込む。
そしてまた、勇気を与える力強い応援としても聞こえてくる。
その音色は、どんな人々にとっても意味あるものであり、想いを寄せた者たちの心をつなぐ大切な鐘の声なのだ。
その時ジョバンニは目を閉じて親友のことを思い出すのだった。
「鐘の音」
むかしむかし、ゾワメムという尊大な魔女が森に住んでいました。
ある日、ゾワメムはたまには人々を笑わせてみたいと思いました。
「そうじゃ、あの落語の話術を身につけて、皆を笑わせてやる」
とゾワメムは思いつきました。
そして名高い落語家のもとに弟子入りすることになったのです。
しかしどの演目をやってもゾワメムの口から出る言葉は、押し付けがましく鬱陶しいものでした。
彼女が寄席に立つと、観客たちは楽しむどころかお腹がいっぱいになってしまうのです。
寄席のあと観客たちは食事が出来なくなるという始末でした。
とうとう師匠は厳しく言いました。
「落語というのは、つまらないことも、話し手によって面白いものになるんだよ。
ゾワメム、あんたの他人をひれ伏せたいと思う偉ぶった性格は落語家に向いてないよ。才能がないから破門だね」
仕方なくゾワメムは江戸前寿司をたらふく食べて森へ帰っていきました。
「つまらないことでも」
彼は、灼熱の中を全力で駆け抜けた。
たちまち眩暈が襲ってきた。
まるで自分の中から夕暮れが消えていくような気がした。
意識が遠のき、氷の博物館を彷徨う夢を見ていた。
気づくとエアコンの効いた薄暗い病室でぐったりと横たわっていた。
「病室」
マッジョーレ湖に漂う美しい風。
富豪の息子ジョバンニはヨットのデッキで疲れた身体をラウンジチェアに預けていた。
あたりはさざ波の音が心地よく響いているが、彼はいつだって日々に飽いている少年のように退屈していた。
そんな時、彼の前に不意に謎の男が現れた。
その男は静謐な目をしていた。
「私と一緒に旅をしてみないか」
と男はジョバンニを誘った。
「一緒に旅をして何をするんだい」
ジョバンニが気のない様子で質問する。
「旅をしながら愛を伝えるんだよ。ただし、君は父上の財産の相続を投げ打つ覚悟が必要なんだ」
と男は真剣に告げた。
「ふうん、それは随分スリリングで面白そうだね。明日晴れたら答えはYESだ」
とジョバンニは口元に笑いを浮かべて応じた。
この時期この辺りの天気は陽射しが差し込む日々が続いている。
そう、明日も太陽は輝くだろう。
もうすでにジョバンニの決断は固まっていたのだ。
「明日もし晴れたら」