récit

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マッジョーレ湖に漂う美しい風。
富豪の息子ジョバンニはヨットのデッキで疲れた身体をラウンジチェアに預けていた。
あたりはさざ波の音が心地よく響いているが、彼はいつだって日々に飽いている少年のように退屈していた。

そんな時、彼の前に不意に謎の男が現れた。
その男は静謐な目をしていた。

「私と一緒に旅をしてみないか」
と男はジョバンニを誘った。

「一緒に旅をして何をするんだい」
ジョバンニが気のない様子で質問する。

「旅をしながら愛を伝えるんだよ。ただし、君は父上の財産の相続を投げ打つ覚悟が必要なんだ」
と男は真剣に告げた。

「ふうん、それは随分スリリングで面白そうだね。明日晴れたら答えはYESだ」
とジョバンニは口元に笑いを浮かべて応じた。

この時期この辺りの天気は陽射しが差し込む日々が続いている。
そう、明日も太陽は輝くだろう。
もうすでにジョバンニの決断は固まっていたのだ。

「明日もし晴れたら」

8/2/2024, 12:54:33 AM