récit

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8/1/2024, 12:10:57 AM

彼はパリ北駅のコンコースに足を止めた。
人々が皆どこかへ向かって急ぎ足で進んでいる。
しかしその流れから逸れた彼はひとり佇む。

賑やかな雑踏の中で、まるで彼だけが浮いているかのように孤独に包まれる。

この場所は、人々が自分の目的地を見据える吹き溜まりなのだ。

ここパリ北駅で一人になると、心に埋もれた本当の目的が顔を出すことを彼は知っている。

孤独の中にこそ彼の真実があるのだ。

「だから、一人でいたい」

7/31/2024, 12:04:09 AM

画家である浅倉慎也はその澄んだ瞳で世界を見つめていた。

目の前に広がる美しい景色も、時に残酷な光景も、ただありのままに観察する。

評価や判断を手放し心を無にして、存在の本質を感じとるのだ。

来たるべき時、その沈静さはほぐれる。

硬く結ばれた紐の後ろに潜む世界の真意が少し明らかになる。
それは決して遠くにはない。
世界の方からその意味を語りかけてくるのだ。

その時、彼は世界の奥深い一端を表現することが芸術の役割だと感じる。

「澄んだ瞳」

7/30/2024, 12:30:50 AM

嵐が迫る中で君は必死に逃げようとする。だが嵐は巧妙にその向きを変え君を追いかけるように襲ってくる。

君は、恐れに揺れる感情に飲み込まれそうになる。

それでも君は嵐の渦の中を力強くやり過ごそうとするのだ。

嵐の流れは予測不可能で、
混乱の中にいると、その瞬間のことも忘れてしまう。

そして、時が過ぎ去った後に振り返れば、君自身が以前とは異なる存在になっていることに気付く。

嵐とは時の傾きであり、時の流れそのものなのだ。

君は、時を見極める可能性を自分に見つけ出し、自分の翼を信じることが出来るようになっているかもしれない。


「嵐が来ようとも」

7/27/2024, 3:12:38 PM

フランス留学中の浅倉慎也は、作品の独創性を模索し続けていた。
彼はルイーズミッシェル広場の芝生に横たわり、深い青空を見上げていた。
紺色に近い空に浮かぶ真っ白な雲がそっと切れ、眩しい陽射しが差し込む瞬間、彼の中に何か特別なものが舞い降りてきた。
まるで神の啓示のように。

この時、彼の作品の方向性が確立されたであろう。
のちに「セキュエンタリズム」と名付けられる彼のオリジナル手法が、ここで生まれることとなったのである。

「神が舞い降りて」

7/27/2024, 3:33:38 AM

空気椅子スクワットで筋トレをしているドリッキィが、友達と5人で居酒屋に行ったんだ。

そこのお店の人から
「すみません、今、4人掛けテーブルしか空いてないんですよ」
って言われたけど、ドリッキィは
「大丈夫です」
と爽やかに席に着くのさ。

そして、ドリッキィは空気椅子にチャレンジする。

「だってみんなにはすぐに気持ちよくテーブルについて欲しいし、待たないのが一番だよ。
それに、これで太ももと体幹も鍛えらるから、自分のためにもなるしね」
ってご機嫌なんだ。

でも、椅子取りゲームのときはみんなから「ドリッキィの空気椅子は無しだぜ」って制限されちゃうのがすごく残念で、ちょっと悲しい思いをしてるのは、可愛いよね。

「誰かのためになるならば」

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