récit

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彼はパリ北駅のコンコースに足を止めた。
人々が皆どこかへ向かって急ぎ足で進んでいる。
しかしその流れから逸れた彼はひとり佇む。

賑やかな雑踏の中で、まるで彼だけが浮いているかのように孤独に包まれる。

この場所は、人々が自分の目的地を見据える吹き溜まりなのだ。

ここパリ北駅で一人になると、心に埋もれた本当の目的が顔を出すことを彼は知っている。

孤独の中にこそ彼の真実があるのだ。

「だから、一人でいたい」

8/1/2024, 12:10:57 AM