最近、通り道にあじさいの花が咲き始めた。もうすぐ雨の多い、ジメジメした季節がやってくると思うと少し憂鬱になる。しかし、彼は雨の季節が好きらしく、私とは対照的にワクワクしている様子だ。
「あなたはなぜ雨が好きなの?」
「うーん、静かに過ごせるからですかね。それに、あじさいの花が綺麗ですから…」
そう言って、彼は道端に咲いていた青や紫のあじさいを指さした。それを見て、私は少しモヤモヤした気持ちになる。
「あじさいの花言葉って知ってる?移り気とか、浮気とか、あまりいい意味がないんだよね…」
こんなに綺麗なのにね、と落ち込んだ表情で言うと、彼はああ、なるほどと頷きながらも、すぐにこう返した。
「では、白いあじさいの花言葉を知っていますか?どの色にも染まらないことから、一途な愛情という意味があるんですよ」
彼の返しに私は驚いた。確かに、彼は昔から私の事を一途に想ってくれている。雨が好きなことと、一途に想ってくれることから、彼には白いあじさいが似合うと思った。
テーマ「あじさい」
私たちは、デートでも美味しいものを食べに行くことが多い。というのも、昔から好き嫌いが少なく、食べることが好きなので、グルメの話が盛り上がるからだ。
「大人になると食べられるものも多くなるというけれど、私は昔から好き嫌い少なかったなぁ」
「俺もです。小さい頃普通に野菜を食べていたら、周りの友達が信じられないものを見るような顔をしてましたね」
「あっ、わかる!なんでこんな美味しいものを食べられないのだろうって疑問に思ってた」
好き嫌いのない人というのも珍しく、思っていたことをここまで話せるのはお互いの存在くらいだろう。小さい頃普通に食事をしていたら驚かれたこと、友達に嫌いなものを押し付けられまくることなど、あるある話に花を咲かせていた。
「それで、次は何を食べに行く?」
「そうですね。次のデートは和食を食べに行きませんか?」
「あぁ、いいね!和食はお母さんが作ったものしか食べたことなかったから」
そして、次のグルメデートの予定を立てるのであった。
テーマ「好き嫌い」
今日は彼と、大きな街でデートをしている。今の私たちは静かなところに住んでいるのだが、元々は都会に住んでいたので、賑やかな雰囲気が懐かしく感じる。
「今日はたくさん楽しもうね!」
「はい!あなたが望むなら、どこへでも連れて行きますよ」
街に到着したのがお昼近くだったので、まずは飲食店を探した。オシャレなカフェや、本格的なイタリアンまで様々なお店が目を引く。お店が混んでしまう前に、早めにお昼を食べようと思った私たちは、昔ながらの小さな純喫茶に入った。
「いらっしゃいませ。二名様でよろしいでしょうか」
内装もシックで落ち着いており、店員さんに案内された私たちは、ふかふかの赤いソファに腰掛けた。街の賑やかさに対して静かな店内が安らぎを与えてくれる。
「街中にも、こんなお店あるんだね」
「そうですね、こういう喫茶店に俺も憧れていたので楽しみです」
私たちは定番のナポリタンと、飲みたかった紅茶、デザートに固めのプリンを注文した。待っている間、次はどこに行こうか、何を買おうかなど、今日の予定をたてていた。するとあっという間に、店員さんが料理を持ってきてくれた。
「ケチャップの匂いがとても美味しそう~!」
「ふふ、早速食べましょう」
私たちは窓際の席で外の賑やかな様子を眺めながら、どこか懐かしい味のする料理を頬張っていた。
テーマ「街」
私は、ある日ノートを広げて何かを書きながら彼と話をしていた。内容はいわゆる、やりたいことリストである。
「あなたと美味しい物食べたい!特にパンケーキとか、甘いものがいいなぁ…」
「俺は貴方と夜景の綺麗な所へ行きたいですね」
お互いの意見にいいなぁ、と賛同しながら、ノートにやりたいことを書き連ねていく。あっという間に1ページが埋まり、今ではもう1ページの半分が埋まりそうなところである。
「これだけやりたいことがあったら、楽しみでいっぱいだね」
「はい!時間が足りるかどうか…」
食べたいスイーツ、行きたいところ、観たい映画…色々な楽しいことでノートを埋めていきながら、まず身近なものから旅行の計画を練ろうか、と楽しげに話し続けた。
テーマ「やりたいこと」
今日もまた一日が始まる。私たちの寝室は東側に窓があるので、朝日が差し込んでくる。朝日の眩しさに目を瞑りながら、私はベッドから身体を起こした。
「おはようございます。朝ごはんができましたよ」
リビングに向かうと、先に起きていた彼が朝食を作って待っていた。おはよう、と返した私は彼の向かい側に座った。こんがりと焼けたトーストの香ばしい香りと、コーヒーのほろ苦い香りが私の食欲を掻き立てる。
「美味しそう、いつもありがとう」
「いえいえ、一緒に食べましょうか」
いただきます、と同時に言ってお互いに朝食を食べ始めた。朝日に照らされて明るい室内は、温かい感情で満たされている。それは朝日の温もりと、お互いを愛し合っている感情のおかげだろう。私たちは食卓を囲んで談笑しながら、今日も一日頑張ろうと思った。
テーマ「朝日の温もり」