パルファム=5~7時間
オードパルファム=4~5時間
オードトワレ=3~4時間
オーデコロン=1~2時間
オーデサントゥール=1時間
上記は香水の持続時間を表しているものだ。
上記の中で最も香りの持続時間が長い「パルファム」は、香りの濃度も高く15〜30%ほどある。
持続時間が一番短い「オーデサントゥール」の濃度は、1~3%ほど。一番上と下で、何十倍も違いがあるのだから驚きだ。
昨今はスメハラという言葉をよく聞くようになった。香りというのは好みが分かれるものであるため、いささか仕方ないことであるのかもしれない。
誰かにとって好ましい香りは、誰かにとって不快な匂い。
こう書くと悲しい事だが、人それぞれ違うが故に起こることであり、そういうものは世に溢れている。
香りだけが特別な問題というわけではない。
推し香水を作るくらい香りが好きな我が身としては、人に不快な思いをさせず、かつ自分も楽しめる方法を模索する日々である。
上半身に付けると周囲に香りが漂いやすいので、腰やスカートの裾に付けるなど工夫をしているのだが…。香りがほのか過ぎて、付けていないレベルに感じる。 香りを楽しめないのに、香水を付ける意味とは一体…。
ロータスの香りがするオードパルファムで、寝香水を試してみたこともある。
ユニセックスなロータスの香りは、癒しにもなるし、ベッドの中も良い匂いになる。翌朝になれば、ほのかに香る程度になるのだから、良いこと尽くし。
個人的には良い塩梅と思っていたのだが、残念ながら他人には不快だったようだ。
嫌そうな顔で「スパイスのような香りがする」と言われて以降、寝香水はしなくなった。
香りに慣れてしまうと、香りに疎くなる。
自分ではなかなか気付けないものだ。
これはなにも、香りだけにとどまる話ではない。
大抵の物事は、人から言われて初めて気付く──そういうものなのかもしれない。
────────────────────────香水
オリキャラ達の香りイメージメモ
博士=グリーン系
助手=フローラル系
俺=ウッディ系
彼女=ハーバル系
思考の海の番人=マリン系
カード=オリエンタル系
ドリームメーカー=シトラス系
…推し香水作りたくなってきた…。
僕達の間に言葉はいらない…。
そう言えたなら、格好が付くのに。
君の心が知りたくて。
僕の事を知って欲しくて。
僕は、君と沢山の言葉を交わし合う。
君と僕との間にある共通点を一つ見つける度に、
心は花が咲く。
今や僕の心は花畑だ。
綺麗な花を集めて、花束を作ろう。
君という存在の奇跡に感謝する為に。
君に花束を贈ろう。
僕達の間に言葉はいらない、ただ…
この花束を君に
────────────────────────
言葉はいらない、ただ…
肝心の言葉を隠すと、物語は複数のルートが現れ、それぞれ姿を変える。
言葉を重ねなければ、真実には辿り着かない。
それでも尚、言葉はいらないのだろうか。
夜の海に旋律が響いている。
空から鳴り響くその音は、キラキラと輝きながら思考の海へと流れていく。
音に触れた海面は、エメラルドブルーの宝石となって煌めいている。
山高帽の男と白い詰め襟のコートを着た女は、その光景に穏やかな笑みを浮かべていた。
「おや、珍しい。二人で音楽鑑賞ですか」
二人の背後から穏やかな声がかかった。
「…お前がここに来るのも珍しく、久方ぶりのことだかな。ドリームメーカー」
山高帽の男にドリームメーカーと呼ばれた人物は、にこやかな笑みを浮かべた。
「素敵な音楽が聴こえたもので。今晩の夢に一欠片、いただこうと思いまして」
ドリームメーカーは思考の海から言葉を拾う──海漁りも仕事の一つだ。
最近は本来の仕事である記憶の管理が忙しいのか、思考の海に姿を見せていなかった。
今夜は、音楽に惹かれてやってきたようだ。
「良い音ですね、植物が育っていくような美しい光景を観ているようだ。それだけでなく、コツコツとひたむきに向き合う人影や時計の針が進むような時間の経過も感じられる。不思議ですね」
ドリームメーカーの言葉に、二人は静かに頷いた。
「枝葉を伸ばす植物の姿を見たかと思うと、雪が舞っている景色が見える時もあるし、美しい海岸の穏やかな波と光が見える時もある。風も光も色も感じられる。音楽とは、世界そのものだな」
山高帽の男がそう言うと、
「穏やかな明るさでありつつ、葉の煌めきのような輝きが美しく愛おしい世界よ」
詰め襟コートの女が後に続く。
二人の穏やかな顔を見たドリームメーカーは、
優しい笑みを浮かべ
「お二方の意見に同意です。ますます今日の海から、エッセンスを拝借しなくては」
そう言うと、思考の海へと向かって行った。
今日の夢はきっと良い夢になると確信しながら。
────────────────────────
突然の君の訪問
夜の海に潮騒が響いている。
海岸に置き忘れたランプのそばで、紺色の影がユラユラと揺れている。
「最近はよく表に現れているな、過去」
山高帽の男が影に向かって声を掛けると、紺色の制服に身を包んだ過去が振り返った。
「本体も薄々気づいているぞ。見えないけれど確かにある──ガムシロップを水に溶かした時の様な映像が見える──とな。そしてその時はよくわからないが、普段思い浮かばない文章が浮かぶ──と」
ランプに照らされた過去は、皮肉げな笑みを浮かべた。
「人をガムシロップに例えるやつがある?」
「ここにはいるのさ。しかし、本体が感知すると逃げるのだから、ガムシロップとしてはいただけないけどな」
過去は肩を竦めると、波立つ海を横目に見た。
「カードの時の様なピンポイントの明かりではなく、お前の場合は全体にまで行き渡ろうとする。浸水或いは、浸透という言葉が相応しいか?」
「私の事をどう捉えようと、それはあなたの自由。好きに捉えて構わない」
思考の海から目を離さず、過去は淡々としている。
「あの文章もお前だな」
海を見ていた黒い瞳が、こちらを向いた。
感情の読み取れない黒い瞳が、ジッとこちらを見てくる。
見つめ合うだけの無言の時間が暫し流れる。
過去は、緩やかな笑みを浮かべると沈黙を破った。
「言葉によるバタフライエフェクトを期待してね」
「バタフライエフェクト?」
「一つの言葉が誰かの元で響き、その誰かが抱く感情がまた別の誰かに届き、別の誰かに届いた感情が別の何かを動かしていく。過去と未来が重なるのが今なら、言葉は軽やかに時をも超えていく。言葉に表した本人が預かり知らぬところで、一人でも幸せになる人がいれば良い。あれはそういうもの」
海風に規定の長さのスカートがはためく。
黒い瞳はどこか遠い所を見ているが、その目からは何も読み取れない。
「言葉は呪いにもなり得るのだぞ」
「どんな良い言葉も捉え方次第。世界とはそういうものでしょう?」
何を言っても過去はどこ吹く風だ。
はぁ…と深い溜息をつき、山高帽の鍔に触れる。
「…それほどまでに、今が楽しいのだな?」
そう言ってやると、過去は意味深な笑みを浮かべた。
その笑みに思わず身構えると
「雨に佇む世界は、終わったのね?」
首をわざとらしく傾げこちらを見てくる。
まったく、これだから過去という奴は。
このまま引き下がるのも癪なものだ。
思考の海の番人を舐められては困る。
「木は何の夢を見ている?」
山高帽の男の問に過去は苦笑を浮かべた。
「太古の海の夢」
「人が海に帰らなかったのは?」
「空に海と同じ色が広がっていたから」
「夜空に輝く星の正体は?」
「星が今までに見た夢の残り香」
「海は何の夢を見ている?」
「この世界のこと」
懐かしい言葉たちだ。
目の前の過去が紡いだかつての言葉たち。
物語において、少年二人が互いの仲を深める為の問答だ。
物語後半のこの言葉も忘れてはいけない。
「類は友を呼ぶっていうだろう?」
「じゃあ、僕も『スプーキー』だ」
少年達は問答の末、互いの中に共通を見つける。
その事実は孤独を感じていた少年に揺るぎない安心を与え、互いの存在を讃え笑い合う。
過去も今も言葉は巡り巡る。
一度放たれた言葉は、形を変えて持ち主の元へ返ってくる。
雨に佇む必要がなくなった男と過去は、声を上げて晴れやかに笑いあった。
私の日記帳は、相変わらずココだ。
文房具など好きな方ではあるのだが、
何故かノートの日記帳だと長続きしない。
1、2ページ書いておしまい。
三日坊主も呆れるほどの早さだ。
そんな飽き性な私が、ココは本当に良く続いている。我がことながら、他人事のように感心してしまう。
…もしかしたら、こういう場所を、過去の私が望んでいたのかもしれない。
本当、ご縁とは面白いものだ。
時間を掛けてでも、巡り合わせようとするのだから。
自由に書いて良いというココの環境に甘えて、全体数としては少ないが、旅行や過去の事やらと──最近はますます好き放題している。
もしかしたら、1年前より遠慮とかがなくなっているかもしれない。
雑多な物たちの中に、1つでも気に入っていただけるものがあれば幸いである。
書くのが楽しくてつい忘れがちだが、
文章の練習として、ココいることも忘れてはいない。
言葉に親しみを覚えるにつけ、言葉が持つ底しれぬ奥深さに、日々身を正す思いである。
これからも、複雑で美しい言の葉達と戯れてゆければ幸いである。
日記帳というのは、願望を書くと良いと言われている。文字に表すことにより叶いやすいのだとか。
ならば一つ書いてみよう。
今願うことは、
会いたい人に会えますように。
この言葉が、この文章を読んでいる貴方にも響き、良いご縁となって返ってきますように。