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4/12/2024, 2:56:56 PM

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暫く会えていないが、元気か?

オマエが遠くに行ってしまったからか、張り合いみたいなものがなくなって、世界の彩度が落ちているような気がする。

オマエと会ってもくだらない冗談を言い合うだけなのに、なんでだろうな。

自分でもよくわからない感覚なんだ。

そのせいなのかわからないが、
最近、ガラクタばかり増えていくのに
どれも手放せなくて悩んでいる。

愛着みたいなモンが勝手にそうさせるのか
或いは
ガラクタに愛されているような錯覚を覚えるからなのか、わからない。

変だよな。
自分のことなのによくわからないって。

オマエがいなくなってから、変なんだ、俺。

俺にとってオマエって何なんだろうな?

「そんな事俺に聞くなよ」って言うオマエの嫌そうな顔が浮かんだよ。
そう、これはささやかな嫌がらせさ。
ざまあみろ。
遠い地にいるオマエへ、遠い地から力いっぱいぶつけてやる。
有り難く受け取りやがれ。

ソッチの空と、コッチの空。
繋がってるって言われても実感わかないが
遠くの空の向こう、海越え山超えた先にオマエがいるんだよな。

ソッチはどうだ?何か面白いモノでも見つけたか?
もしそうであったなら、今度教えてくれよ。
良い酒奢ってやるからよ。

だから、コッチに戻ってきた時には元気な顔を見せてくれ。
何、嫌がらせなんざしないさ。

オマエの土産話をたらふく聞いて、
昔のようにくだらない冗談を言い合おう。

その日まで元気で。


古書の中に手紙が入っていた。
封筒はなく、便箋だけが折りたたまれている状態だった。
古い手紙だ。
茶色く変色しているし、古紙特有のやわらかさがある。
差出人の文字には滲みがあって読めない。
雨でも当たったのだろうか?
或いは、受取人又は差出人がうっかり水でも零したのだろうか?
こんなピンポイントに?

この二人の友人たちはその後出会えたのだろうか?
美味い酒は呑み交わせたのだろうか?
土産話はどんな話だったのだろうか?
どんな冗談を言い合ったのだろうか?
彼らが生きているとしたら今は何歳なのだろうか?

疑問は尽きないが、それを知る術はない。

遠い空、地を旅した手紙は時代を超えて疑問ばかりを残して佇んでいる。

4/11/2024, 12:00:59 PM

言葉にできないことなんかいっぱいある。

そういう時、「語彙力がないから」と落ち込む事が多かったが、最近は考えを改めている。

豊かな語彙で、伝えたいことを的確に伝える。
言葉にできないことすらをも言葉で表せるのは、素敵な能力だ。

では、語彙が無いと必ずしも駄目かというとそうでも無い。

全てを言語化出来なくても表現方法は沢山ある。

絵にする、モノを作る、行動に表す(ボディーランゲージ、身振り手振り)、音楽を作る、演奏する。

どれも人らしくて素敵なものたちばかりだ。

言葉に出来ない、形なきものに形を与えることが芸術なればこそ──
創作や表現する人が尊いと謂われる所以はここにあるのかもしれない。

4/10/2024, 1:36:32 PM

ソメイヨシノが盛りを迎えている。

青空に淡桃色の対比が美しい。
桜の花々の合間を行くは、花盗人の目白。
あっちの花は苦いぞ、こっちの花は甘いぞ。
軽やかに歌いながら飛んでいく。

足元には、穏やかな日差しに色添える蒲公英、寄り添う白詰草にオオイヌノフグリ。
春の野辺はさながら絵物語のよう。

遠景は春霞の嶺。
雄大な姿をやわらかなベールに包んで淑やかな風情。

吹き抜けるやわらかな風に導かれ
気の向くまま春爛漫の世界を散歩しましょうか。

この儚くも美しい世界を愛でるために。

4/9/2024, 12:45:23 PM

3時のおやつ休憩中、ふと思い立って博士に質問をしてみた。

「博士って、誰よりもずっと努力してきたものとかありますか?」

私の質問に、丁度お饅頭を口に運ぼうとしていた博士の手が止まった。
暫し空中に視線を漂わせ、お饅頭を持っていない方の手を顎に添えている。

顎に手を添える仕草は、博士が考え事をしている時の癖だ。

一体どんな言葉が返ってくるだろうとワクワクしていると、博士と目があった。

「僕はそういう物はないかも。努力というより好奇心や興味で今まできちゃったから」
だから、本来の専攻と違うことを今しているのかもね、そう言うと博士は眉をハの字にしながら苦笑した。

「博士って人と比較するとかしたりしますか?」

研究の時には比較は大切だろうけど、人に対しても行っているのだろうか。
つい好奇心で聞いてみたが、
博士は淡々と「しないかな」と一言言ってお饅頭をパクリと食べた。


誰よりもずっと努力してきたもの。

君は面白い質問をするね。

誰よりも、ずっと努力してきたと僕は言えない。
君に語った通り、好奇心で今日まで来てしまったから。
それに、この世界は広い。
努力する人というのは数え切れないほど沢山いるだろうし、そもそも努力しなくても出来てしまう天才だっている。人それぞれ違うから、比較するのって難しいことだと思うな。

人との比較か。

人と比較して得られるものって、何だろうね?

物事に対して新しい視点は得られるかもしれない。
けれど、それが必ずしも自分に合うとは限らないとも僕は思っている。
物事のヒントは、対象から離れた意外なところにあったりするからね。
それを自力で見つけるのが、人生の目標の一つであり楽しみなのかもしれない。
少なくとも僕はそうかも。
だからこそ、広い視野で、自分の尺度だけで物事を見ないように気をつけているんだ。
なんて、説教臭いし恥ずかしいから君には言えないけれどね。

4/8/2024, 1:10:04 PM

これからも、ずっと…。
…。
最初に思い浮かぶのは、
これからも、ずっと=未来永劫
無限かつ不変の状態。

どうもこの例では、シニカルな性が騒ぐので
所謂、希望的観測または願望としておくのが自分には丁度良いのかもしれない。

一方で

これからも=今後も
ずっと=継続的に
と解釈することも出来る。

この場合、後続の言葉の自由度が上がり、不変のみではなく可変も可能となる。

整理すると

【これからも、ずっと変わらずにある】未来永劫
【これからも、ずっと変わらずにありたい】不変願望
【これからも、ずっと変わり続ける】可変
【これからも、ずっと変わり続けたい】可変願望

この様な形だろうか。
上記は、停滞と流転にも分けられる。
万物流転の観点からすると、
未来永劫は人々の願望でしかないのかもしれない。
ともすると、
上記の言葉の主成分は願望で成り立っていることになる。

これからも、ずっと

この言葉に人々は願いを託しているようだ。

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