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暫く会えていないが、元気か?

オマエが遠くに行ってしまったからか、張り合いみたいなものがなくなって、世界の彩度が落ちているような気がする。

オマエと会ってもくだらない冗談を言い合うだけなのに、なんでだろうな。

自分でもよくわからない感覚なんだ。

そのせいなのかわからないが、
最近、ガラクタばかり増えていくのに
どれも手放せなくて悩んでいる。

愛着みたいなモンが勝手にそうさせるのか
或いは
ガラクタに愛されているような錯覚を覚えるからなのか、わからない。

変だよな。
自分のことなのによくわからないって。

オマエがいなくなってから、変なんだ、俺。

俺にとってオマエって何なんだろうな?

「そんな事俺に聞くなよ」って言うオマエの嫌そうな顔が浮かんだよ。
そう、これはささやかな嫌がらせさ。
ざまあみろ。
遠い地にいるオマエへ、遠い地から力いっぱいぶつけてやる。
有り難く受け取りやがれ。

ソッチの空と、コッチの空。
繋がってるって言われても実感わかないが
遠くの空の向こう、海越え山超えた先にオマエがいるんだよな。

ソッチはどうだ?何か面白いモノでも見つけたか?
もしそうであったなら、今度教えてくれよ。
良い酒奢ってやるからよ。

だから、コッチに戻ってきた時には元気な顔を見せてくれ。
何、嫌がらせなんざしないさ。

オマエの土産話をたらふく聞いて、
昔のようにくだらない冗談を言い合おう。

その日まで元気で。


古書の中に手紙が入っていた。
封筒はなく、便箋だけが折りたたまれている状態だった。
古い手紙だ。
茶色く変色しているし、古紙特有のやわらかさがある。
差出人の文字には滲みがあって読めない。
雨でも当たったのだろうか?
或いは、受取人又は差出人がうっかり水でも零したのだろうか?
こんなピンポイントに?

この二人の友人たちはその後出会えたのだろうか?
美味い酒は呑み交わせたのだろうか?
土産話はどんな話だったのだろうか?
どんな冗談を言い合ったのだろうか?
彼らが生きているとしたら今は何歳なのだろうか?

疑問は尽きないが、それを知る術はない。

遠い空、地を旅した手紙は時代を超えて疑問ばかりを残して佇んでいる。

4/12/2024, 2:56:56 PM