(輝き)
『星は良いよなぁ』
学校帰り、自分の横を歩く友達が夜空を見上げながら唐突に呟いた。
『星? なしたの?? 何か見えたの???』
友達の動きにつられて、僕も夜空を見上げた。
二人して立ち止まって夜空を見上げているもんだから、近くを歩いていた通行人達も立ち止まりはせずとも夜空をチラッと見上げていた。
『だってさぁ星の光って何年も前の光が、今こうして俺たちに届いてるんだろー? てことはだよぉ? 星の方が俺たちよりも未来を生きてるんだろ?? すごくね?』
???
通行人も僕も、ん??ってなっていた。
『なんでわかんないの!? 何年も前の光が今、やっと俺たちに届いてるんだよ! てことは今、俺たちに届いた光は星達にとっては過去であって、星達は今、未来で輝いてるんだよ!』
何となく友達の言いたいことはわかった気がする、、
でも、とんでもない勘違いをしている気もする、、
なんて伝えてあげようかと考えていたら
『星は未来で輝いてるか、、、ありがとう、君たちを見てたら明日もなんか頑張れそうだよ』と、やけに疲れた顔をしたサラリーマンに感謝された。
???
僕も友人も、ん??となっていた。
気がつけば、周りの通行人はニコニコしながら、というかクスクスしながら歩いてる。
『腹減った! 帰るか!!』
友人にそう声を掛けられて、僕たちは歩き始めた。
1時間後 1分後 1秒後
すぐ先の未来でさえも何が待っているかわからないのに
毎日が目まぐるしく過ぎていくし、決して時間は待ってくれない。
目隠しをしながら、足の踏み場もわからない道を歩いているのに、『早く早く!置いて行くよ!!』と、急かしてくる。
だから、1歩、また1歩と不安を抱えながら歩く。
その不安を少しでも和らげるために、
少しでも未来に希望を持てるように、
何か、きっかけになる鍵を探して今日も歩く。
そして、いつのまにか
その鍵を探すことが自分にとっての希望で
未来への鍵になっていた。
『未来への鍵』
自分の存在価値がわからなくなり
居場所が無いと感じてしまい
心が孤独に蝕まれてしまった日は
星を見るために夜道を散歩する
孤独な気持ちで星を見ると
これだけ広い空にこれだけの星たちが光っていたら
きっと、世界のどこかに自分と同じ気持ちで夜空を
見上げている人が今いるかもしれない
そう思うと、一人じゃないのかなって
星のかけらに居場所を求める
向かい風に耐えようと必死になると、急に追い風に
変わった時に転んでしまうかもしれない。
向かい風は耐えるんじゃなくて、受け流して
風向きが変わるのを待つ
受け流し、逃げて、時が過ぎるのを待っていれば、
いつか、正解の風向きに変わってくれる、、
辛い時はそのくらいが丁度いい
『君と一緒に』
君と一緒に携帯のアラームで目を覚まし、
君と一緒に太陽の光を浴びて、
君と一緒に朝ごはんの用意をして、
君と一緒に朝ごはんを食べて、
君と一緒に身支度を済ませて、
君と一緒に玄関でお互いの無事を祈る挨拶をして、
君と一緒に玄関でお互いに再会の喜びの挨拶をして、
君と一緒に夜ごはんの準備をして、
君と一緒に夜ごはんを食べて、
君と一緒にお風呂に入り、
君と一緒にアイスを食べて、
君と一緒に今日1日起こった出来事を話し、
君と一緒にいつもはお酒を呑むのに今日は僕だけが呑み、
君と一緒に明日の楽しみな事なんかを話すのに、今日は
話さないのかな? 何か大事な話があるのかな?
君と一緒に喜びを分かちあって、
君と一緒にこの先の未来予想図なんかを話し、
君と一緒に寝る準備をして、
君と一緒に布団に入り、
君と一緒に寝る前の挨拶をして、
君と一緒に寝息を立てて、
君と一緒に携帯のアラームで目を覚ます。
君と一緒に過ごす日々があまりにも普通なのに幸せで、
かけがえのない大事な宝物、絶対に失いたくない物。
それをこれからは僕たち以外とも過ごせるなら、それは
なんて素敵な事なんだろうか。
君と一緒に浴びた太陽の光が、今日は一段と世界を照らし
てくれているように見える。
君と一緒に、君たちと一緒に。