1時間後 1分後 1秒後
すぐ先の未来でさえも何が待っているかわからないのに
毎日が目まぐるしく過ぎていくし、決して時間は待ってくれない。
目隠しをしながら、足の踏み場もわからない道を歩いているのに、『早く早く!置いて行くよ!!』と、急かしてくる。
だから、1歩、また1歩と不安を抱えながら歩く。
その不安を少しでも和らげるために、
少しでも未来に希望を持てるように、
何か、きっかけになる鍵を探して今日も歩く。
そして、いつのまにか
その鍵を探すことが自分にとっての希望で
未来への鍵になっていた。
『未来への鍵』
自分の存在価値がわからなくなり
居場所が無いと感じてしまい
心が孤独に蝕まれてしまった日は
星を見るために夜道を散歩する
孤独な気持ちで星を見ると
これだけ広い空にこれだけの星たちが光っていたら
きっと、世界のどこかに自分と同じ気持ちで夜空を
見上げている人が今いるかもしれない
そう思うと、一人じゃないのかなって
星のかけらに居場所を求める
向かい風に耐えようと必死になると、急に追い風に
変わった時に転んでしまうかもしれない。
向かい風は耐えるんじゃなくて、受け流して
風向きが変わるのを待つ
受け流し、逃げて、時が過ぎるのを待っていれば、
いつか、正解の風向きに変わってくれる、、
辛い時はそのくらいが丁度いい
『君と一緒に』
君と一緒に携帯のアラームで目を覚まし、
君と一緒に太陽の光を浴びて、
君と一緒に朝ごはんの用意をして、
君と一緒に朝ごはんを食べて、
君と一緒に身支度を済ませて、
君と一緒に玄関でお互いの無事を祈る挨拶をして、
君と一緒に玄関でお互いに再会の喜びの挨拶をして、
君と一緒に夜ごはんの準備をして、
君と一緒に夜ごはんを食べて、
君と一緒にお風呂に入り、
君と一緒にアイスを食べて、
君と一緒に今日1日起こった出来事を話し、
君と一緒にいつもはお酒を呑むのに今日は僕だけが呑み、
君と一緒に明日の楽しみな事なんかを話すのに、今日は
話さないのかな? 何か大事な話があるのかな?
君と一緒に喜びを分かちあって、
君と一緒にこの先の未来予想図なんかを話し、
君と一緒に寝る準備をして、
君と一緒に布団に入り、
君と一緒に寝る前の挨拶をして、
君と一緒に寝息を立てて、
君と一緒に携帯のアラームで目を覚ます。
君と一緒に過ごす日々があまりにも普通なのに幸せで、
かけがえのない大事な宝物、絶対に失いたくない物。
それをこれからは僕たち以外とも過ごせるなら、それは
なんて素敵な事なんだろうか。
君と一緒に浴びた太陽の光が、今日は一段と世界を照らし
てくれているように見える。
君と一緒に、君たちと一緒に。
ベルの音
私がまだ幼い頃、4歳か5歳ごろ
私の家は二世帯住宅の2階建ての家で1階には母方の祖父母が住んでいました。
クリスマスの日の夜、母さんと父さん、兄、姉とケーキやチキン、他にもクリスマスっぽい食べ物が並べられたテーブルをみんなで囲んで楽しく話しながらご飯を食べていました。
昔の実家は少し古い建物で今のようなインターホンなどはなく、扉につけられたベルを鳴らしてもらうような玄関だったのですが、2階でご飯を食べているとその玄関のベルが鳴ったのです。
冬の夜に誰かが来たのを知らせてくれました。
私や兄、姉は『誰だろう??』なんてことを言いながらキョトンとして、互いの顔を見合わせました。
勘の悪い私たちに痺れを切らした母は、父の背中を小突いていました。
父は厳しい人ではなかったのですが、普段あまり冗談を言ったり、笑ったりする様な人ではなく、とても真面目な人でしたが、そんな父が下手くそな作り笑いをしながら、
『サンタさんが来たんじゃないか? みんな玄関に行って見 ておいで』と言いました。
私はそんな父の顔を見て、幼いながらに、なんとなく感じ始めていた"サンタさんはいない説"が確信に変わってしまいました。
ただ、父の普段見たことのない笑顔を見てサンタはいないなんて事は言えずに素直に玄関に行き、置かれていたオモチャを手に取り、『サンタさんからのプレゼントだぁ!!』と
サンタさんを信じるフリをしました。
きっと、サンタの有無を知っている兄や姉は喜ぶ私を見て、
『サンタさん来てくれて良かったね!!』と笑顔で声を掛けてくれて、お互いのオモチャを見せ合いっこして、クリスマスを祝いました。
ふと、父と母の顔の方に視線を向けると2人は優しい笑顔で私たちを見ているのに気づき、思わず『プレゼントありがとう!』と言ってしまいました。
父は急に真顔になり、『サンタさんにお礼を言いなさい』と
言って背中を向けてしまい、私はもう少し父の笑顔を見ていたかったので少し、寂しい気持ちになりました。
ただあの時、私が見た父の優しく笑った顔は今でも覚えています。
今はもう実家も新しくなり、ベルの着いた玄関はありませんが喫茶店などの扉を開けるときに鳴るベルの音を聞くと、ふとあの日のことを思い出します。
父さんと母さんが子供の夢を守ろうとしてくれたあのクリスマスは一生忘れないと思います。
そして、孫たちの為に恐らく玄関にこっそりとプレゼントを置いてベルを鳴らしてくれた、じいちゃんとばあちゃん。
みんなありがとう。