プロローグ
【天ノ川中洲 バス停】は、この辺りで一番大きいバスターミナル駅で、同じく電車への乗り換えもできることから利用者が多い。
それでも終バス前の遅い時間では人もまばらになって来ている。まして、夜でも30度近い気温の中でずっとベンチに座っている人など他には……。
夜は間も無く22:15。
コンビニで買ったジャスミンティーはベンチに水溜りを作って素知らぬ顔をしている。とうにぬるくなったそれを一口グビと飲む。カバンの中からガサゴソとハンカチを取り出すと、昨日手に入れたばかりの「へんてこな顔の」キーホルダーが小さく揺れた。
3分前にめくった小説のページを戻すのは、読んでいるようで読んでいないから。
何度も何度も同じページをループして、もう諦めたらいいのに、それを持っていないとここにいる理由を誤魔化せない気がして繰り返している。
バス停オムニバス【天ノ川 中洲停留所(1)】
※プロローグのみ。
犯罪、暴力表現を含む可能性が高いのでご注意ください【未完】
これで最後。
朝6時半、時計のない部屋でも正確に時間が迫ってくるのがわかる。
長く続く廊下に響くジリリリリという爆音で目が覚める。
正確には少し早くに意識は戻っているのだ、そして不快な音で否応なしに体を覚醒させられる。
いつものように寝床を整えてから顔を洗いうがいをする。
本当はカミソリで髭を剃りたい。
自分の手で整えている感じが好ましい。
けれどここではもちろん許されない。
長い廊下の先からドアの開閉音が一つ聞こえた。
じゃらついた鍵を扱う音、続いて
カツンカツンと足音が聞こえる。
32歩、俺の部屋の前で止まる。
見知った男が扉の外から声をかけてきた。
冷たい声にも温度はある。冷たい、という温度だ。
男は俺を別の部屋に連れ出し、席につかせる。
長ったらしい序文を読み上げ始めた。
規定や法律の話をしているようだが今更真面目に聞いたところで出される結論は変わらない。
やっと手元の資料から視線を上げた男は
俺を見て一息置いた。これが最後の一文なのだろう。
「本日正午、囚人番号80025 _______の死刑を執行する」
____________________
本編執筆ちぅ。
重い話になっているので
描き切れるかどうか🙏
【優】という字だけ
綺麗に書ける。
それは嬉しくもあり
苦くもある。
【君の名を呼んだ日】
____________________
あとがき。
文房具の試し書き。
どの文字で試し書きをする?
わたしは速記癖があるので
「あいうえお、まうまう」
したりしてると思う。
あ、真面目なあとがきします。
主人公は
初恋なのか
初失恋なのか
優という字を持つ人に
恋をしたことがあります。
「君の名を呼んだ日」は過去。
寂しい悲しいが
じわじわと湧きますように。
p.s.
「う」という文字が好きなの。
初めて見た洋画の字幕。
「う」という文字に憧れたのです。
だから試し書きは
「あうあう、まうまう」してる。
やさしい雨音
耳にか、それよりもっと内側にか、雨音はやさしく届いた。
夏の始まりの雨にしては繊細な雨だった。コンクリートがつめたく冷えた香りがする。傘に当たる雨の感触はほぼなく、何のために傘を握りしめているのか、わからなくなるほどだった。
私は、何から私を守っているのだろう。
馬蹄形のネックレスは文字通り馬の蹄(ひづめ)の形をしている。このモチーフには特徴的なU字型に「幸せを貯める」という意味が込められている。
この2年できっと、満タンだった。
身に余るほどの愛、だった。
どうかこの雨に降られているうちに、覚悟が決まりますように。
傘を閉じるときに、この心の空白を諦められますように。
_____________
振り返り。
スランプでしたのでとにかく書き切ることを目指しました。何種類の失恋を書いても書いてもまだ失恋し続けるの何なん?と思いながらやっています。
幸せな記憶を弔うように空が寄り添ってくれた夜を主人公が「悲劇のヒロイン」の感性も持ちつつ、前を向く話になった気がします。
雨に降られているうちに、と、振られた現実がかかっていることなど、梅雨知らず?
お後がよろしいようで!ガッハッハ!
ひらり
雪も桜も落ちてしまった。
手のひらも、指の隙間も
ひらりとかわして。
起きたのはたまたま。
あまりに静かな朝だったから
自分のため息のような寝息で目が覚めた。
昨夜は遅くまで雨音を聞いていた。
その一粒が
屋根にあたり 流れ
道ゆく人の傘に落ち 流れ
肩、膝、つま先のいずれかに落ち 流れ
地面を冷やす。
そして溜まり 溢れ 流れ。
その様子を妄想しながら
布団の冷たいところを
探していたら
いつのまにか眠っていた。
人は不思議なもので
夢見が悪いと2度と夢なぞ見てたまるか
と思うくせに
今朝のように昨夜の記憶ばかりが
鮮明であると
それはそれで文句を言う。
つまらない朝だと。
無個性の夜
無個性の朝を
受け入れて
目薬を指す。
寝ぼけ眼に目薬が染み渡ると
頭のモヤが晴れ
起きあがろう、と思えるようになる。
今朝のニュースで一番有益な情報だった。
やかんで沸かす湯が冷めるまで
10分ほど湯気を出し
ゴクリと飲める温度まで待つ。
頭は冷めても体はまだ
だるい。
今日がどんな1日になるのか
まだわからない。
カレンダーに書いた赤丸は明日。
約一年前につけた印は
消えずに残っている。
タトゥーのようだと思った。