moooosha

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3/24/2026, 10:09:14 PM

ところにより 雨


天気予報士が泣いていた。
「ところにより雨です」

この人が泣いているから
雨が降るのかもしれない、そう思った。

数年前のパンデミックをきっかけに家から出ない生活が長くなっていた。今日も午前のオンラインミーティングさえ終われば小一時間で仕事が片付いてしまう。優秀なわけでもなく、効率がいい人間であるから、日常も効率的になってしまった。

あるより、ない方が楽。したいより、しない方が静か。そんな直感から、心も大きく動かなくなり、動かし方もわからなくなった。

そもそも心は動かそうと思って動かすものじゃなかったんだ、ということに気がついたのは今朝だった。朝食を食べながらXをなんとなく眺めていた時だった。



天気予報士が泣いていた。
たったそれだけのことに、目を止め、息を飲んだ。
しばらくして鼓動が跳ねていることに驚き、鏡を見に行った。

今どんな顔をしているのだろうか。

記憶の中の自分との間違い探しは考える必要もないほどだった。まるで顔の必需品みたいに目の下にはクマがある。

口角に手を当て、ニコッと笑わせてみるが失敗した福笑いのようなぎこちなさだった。


なぜあの予報士は泣いていたんだろう。考えても仕方のないことに時間を使ったのは久しぶりだった。


撫でた顎の無精髭に一本、白髪が混ざっていた。

2/23/2026, 12:48:46 PM


2/9/2026, 11:14:24 PM

花束

鼻歌をこぼしながら手際よく花を束ねる。
それが彼の仕事で、才能だった。

ウェディングブーケの依頼が後を経たない。
彼の作るものにはそれだけ特別な何かがあると花嫁たちは魅了されたかのように信じて疑わなかった。

白、白、緑、白……。

「さて見習いちゃん、この花は?」

「白バラです」

「品種は知ってる?」

「はい、先生はよく『ブルゴーニュ』をお使いになりますよね。ふくよかな丸みのあるフォルムが女性的で可愛らしいと思います」

「感想もありがとう、では次は?」

実戦に勝る経験などない、矢継ぎ早な質問をしながらも確実にカタチになっていくブーケに見惚れてしまう。今一度「次は?」と問われて

「カスミソウです」

「またの名を?」

「……」

「花言葉は?」

「エバーラスティングラブ、永遠の愛です」

「そうだね」

そう言って彼は小さな花の一つを摘んだ。
手品師が手の内をあえて晒しているような動きだった。
不思議に思った。

「なぜ……」

声に出てしまった。
花たちから目を離すことなく、にこやかな顔のまま彼は答えた。

「つまらないからね」

私はそれ以上彼に問わなかったし、彼も鼻歌を上機嫌に歌い出す。

出来上がったブーケは配達まで行う。
花の扱いを知らない配送員には預けないのが彼の信条なので、必ず弟子たちの仕事になる。
クライアントの喜びの声を受け自分の将来の仕事へ憧れを持たせるのが、本来の狙いなのかもしれない。

新婦はこれで今日が完璧な1日になったと小さく飛び跳ねて、ヘアメイクに冷や汗をかかせた。

私は口ごもる。
そして、懇願する。

「どうか、末長くお幸せに」

意図的に残されたバラの棘と
摘まれたカスミソウに
ささやかな抵抗の祝辞を残して
私はその場をあとにした。


____________________



花束と聞いて
徒花(あだばな)という音が思い当たりました。
意味を知らなかったので、調べたところ……

・咲いても実をなさない花
・無駄な花

ぐえぇぇ、と思いました。
美しい音と悲しい意味に面食らってしまったのです。

きっと彼(師匠)は花が好きで、愛しているからこそ、装飾品の一部とされることに長年の恨みみたいなものを持ってしまったんだと思います。

人様だけが完璧な幸せの1日のために花に過剰な意味を持たせて、花の命を奪うことに静かな怒りと歪んだ背徳感を持って仕事としているんだと思います。

特定の花嫁をターゲットにしようかと思っていたけど、多分これは常習的にランダムにやってるなぁ。と最終的に思います。

「カスミソウを摘む」のはわかりやすかったかと思いますが、「バラの棘を残す」のは正直思いつきでした。
「めでたい席では棘は縁起悪いか?取るよな?」と思い至り調べてニヤついてしまった私です。実際はブーケとして握るところ以外は取らない?ようなのですが、白いドレスに赤い血が、なんてあってはいけないことなので、師匠の性質の悪さが剥き出しです。

胸糞わるい!

2/4/2026, 3:30:17 PM

「iは小文字が好き。ロウソクみたいで可愛いから」






🌬️ フーッ i i i i i i i i i i i

お題【kiss】かきとちゅー💋

2/3/2026, 3:39:23 PM

お気に入りのYouTubeが消えた。

永遠に、あるものではないと

わかっていたはずなのに。

また甘えてしまった。



あれは、私にとって

大袈裟でなく

「救い」だった。



感情に言葉がつけられない時

苦しさに発狂したくなる時

さみしくてたまらない時

あらゆる

未消化の感情に

最適解をくれるのは

研ぎ澄まされたメロディと

気だるさも

重厚さもある歌声だった。


怒りや苦しさ、哀しさ

全部ぶつけても

返ってくる命ある音楽に

救われていた。



ライブラリに残るのは

関連動画という名の

おすすめ動画だけ。

「アンダーテイルの音楽はいい」

そう、彼が言っていたから登録したものだった。

でもそこには最適解も

心の安定もない。





何度も何度も聞いているはずの曲たちも

完全聴衆の私は

エソラでは歌えなくて

それが悲しくて

またそれを、誰とも共有できなくて

いっそう孤独になっている。



できるだけ幸せに

なるべく生きていて。

強欲な私は

1000年先も

あなたの「うさぎちゃん」でありたい。



________________________



推し活、というにはあまりにも重い。
粘っこい感情を満たしてくれるアーティストがいます。
今は聞けなくても、また聞かせてくれる日を待ち続けています。

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