やさしい雨音
耳にか、それよりもっと内側にか、雨音はやさしく届いた。
夏の始まりの雨にしては繊細な雨だった。コンクリートがつめたく冷えた香りがする。傘に当たる雨の感触はほぼなく、何のために傘を握りしめているのか、わからなくなるほどだった。
私は、何から私を守っているのだろう。
馬蹄形のネックレスは文字通り馬の蹄(ひづめ)の形をしている。このモチーフには特徴的なU字型に「幸せを貯める」という意味が込められている。
この2年できっと、満タンだった。
身に余るほどの愛、だった。
どうかこの雨に降られているうちに、覚悟が決まりますように。
傘を閉じるときに、この心の空白を諦められますように。
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振り返り。
スランプでしたのでとにかく書き切ることを目指しました。何種類の失恋を書いても書いてもまだ失恋し続けるの何なん?と思いながらやっています。
幸せな記憶を弔うように空が寄り添ってくれた夜を主人公が「悲劇のヒロイン」の感性も持ちつつ、前を向く話になった気がします。
雨に降られているうちに、と、振られた現実がかかっていることなど、梅雨知らず?
お後がよろしいようで!ガッハッハ!
5/25/2025, 2:19:46 PM