ひらり
雪も桜も落ちてしまった。
手のひらも、指の隙間も
ひらりとかわして。
起きたのはたまたま。
あまりに静かな朝だったから
自分のため息のような寝息で目が覚めた。
昨夜は遅くまで雨音を聞いていた。
その一粒が
屋根にあたり 流れ
道ゆく人の傘に落ち 流れ
肩、膝、つま先のいずれかに落ち 流れ
地面を冷やす。
そして溜まり 溢れ 流れ。
その様子を妄想しながら
布団の冷たいところを
探していたら
いつのまにか眠っていた。
人は不思議なもので
夢見が悪いと2度と夢なぞ見てたまるか
と思うくせに
今朝のように昨夜の記憶ばかりが
鮮明であると
それはそれで文句を言う。
つまらない朝だと。
無個性の夜
無個性の朝を
受け入れて
目薬を指す。
寝ぼけ眼に目薬が染み渡ると
頭のモヤが晴れ
起きあがろうと思えるようになる。
Xで得たここ最近で一番有益な情報。
やかんで沸かす湯が冷めるまで
10分ほど湯気を出し
ゴクリと飲める温度まで待つ。
頭は冷めても体はまだ
だるい。
今日がどんな1日になるのか
まだわからない。
カレンダーに書いた赤丸は明日。
約一年前につけた印は
消えずに残っている。
タトゥーのようだと思った。
3/4/2025, 10:51:35 AM