懐炉 @_attakairo

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1/11/2026, 3:32:18 PM

眠れないね 雀たちが挨拶しだして
起きあがれないね 床には

ただひとりの生き物がいて
冷たくなった 脚とこめかみ、酷い頭痛
身を包むものが無いから
抱えこむものも、無いから
冷たくなってただひとり

ころがってる 生きたまま
ただひとつ、冷えたことばが
ころがってる 顔のすぐ横

着込んでも寒風 通り抜けたように

床で縮こまった体 串刺しにされた

まるで解凍の時を待っている
生き物、ことば
冷気に浸され 目を瞑り
一回、
二回 くしゃみした

【寒さが身に染みて】

1/10/2026, 2:37:06 PM

古い会話履歴は削除した。
見返さない写真は削除した。

今に不必要なら棄ててきた。

約束される度、無責任に同調した。
寝付く度、穏やかな最期を想像した。

微かな期待は気のせいにした。

もとから居なかったんだよ。
それでも世界は変わらず回っていたんだよ。


ああ


でも、


長く生き過ぎた。

この日がくるまでに本当は、
本当はね、

……。

本当は絶望していたかった。
戻れなくなる度、幼さだけ引きずられて人生が進むんだ。

【20歳】

1/9/2026, 1:20:44 PM

くろわっさんさくさく
ほしをちりばめて
とけたまーがりん
かんぺきなすがた
みあげたよるは
ほそぼそくとげり
かげるさかさくろわっさん

くろっさわんさか
かたちをかえる
こんがりばたー
ちでちをあらう
どこからのぼり
どこへしずんだ
くろくさんかくろわっさん


みかづきだけで

おかおをえがくと

なんだかぶきみねくろわっさん

【三日月】

1/8/2026, 2:16:00 PM

縦横に広いテーブルがあって。
正方形の紙や、布の切れ端、糸やボタン、花びら、
結晶、砂、星、葉っぱ、
そういったものが多彩に散らばっているとするでしょ。

好きなように織ってみて。
まずは素材を選んで、次に色やかたちを選んで、


だけどもし、テーブルのうえのそれらが境界もなく混ざりあって、川のように流れ出したら?

手触りもかたちも消え去って、最後にあなたは色を探す?


――何だって、選べるほうが深みが増すかも。違いがあったほうが面白いかもしれない。交じり合うことは混ざり合うよりも健全で、理想的で在りたいとも。


そしていま目の前に、にじんだ色々が流れている。

あなたはスポイトを手に取る?

染料にするため?
抽出した一滴がなみだのように無色透明だったとしても?

【色とりどり】

1/7/2026, 1:07:37 PM

部屋に入ると立派なかまくらが出来ていた。

「どうなさいました」

明るい室内。閉め切られたカーテン。

なんでもないと、くぐもった声。

「お熱がありますか」

……いいや。

「横になられたほうがいいですよ」

もそもそと、分厚い壁がベッドの上で崩れてゆく。

毛布。

クッション。

布団。

まくら。

やがて現れた部屋の主。

積もった雪宿から、ぼんやりした目元のみ。

……外を見てもいい?

どうぞ。

遮断された夜のカーテンをひらけば当然、

聴こえては来ないはずの。

鈴の音。

話し声。

吹き消される湯気。
普段は口にしない甘さと。
笑い声。

包装紙が手渡され。次から次へと、
点灯の色が変わり。

「庭に出たい」

「いけませんよ、こんな熱で」

「箒が要るんだ」

部屋着のまま外に出て、歌いながら、歩道に積もった雪を掃く。通りかかった人々は物珍しそうに眺め、ときには立ち止まる子もいたり。

「……お水を持ってきますね」

音もなく閉じられてゆく部屋のドア、
外の景色に挟まれて、

少年はのぼせた息をつく。

ベッドまわりの雪が溶け出した。

寒気はおさまらない。

ふかく埋もれながらも、少年は箒にまたがって街を見下ろし飛んでいた。

【雪】

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