懐炉 @_attakairo

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12/17/2025, 12:18:31 PM

 若くして亡くなった祖父が名付けたんだと。桜の散り始める時期にまた、なんで。もっと季節に合う名にしたらいいじゃない。周りは必死に止めたけど、祖父は譲らなかったらしい。
 黒々と染まった和紙に白一文字、飛び出す勢いで書されたと。これ見よがしに掲げては、何も語らず晩年を迎えたとか。


 雪見障子から思い出す。
 生前積み上げた人望を最後の最後に荒削り、そこまでして祖父が譲らなかったもの。

 雪とは祖父のなんだったろう?

 私は祖父のなんだったろう。産まれて内心は喜んだのか、疎まれたのか。いくつ季節が過ぎ去ればこの心情も変わるのか。

 障子窓から何が見える。思い出には何が映る。

 桜とは祖父のなんだったろう。

 散り際のもの悲しさと、去り際のみすぼらしさと、宙を舞っては歩を彩る地続きの刹那さと。

【雪の静寂】

12/16/2025, 12:36:03 PM

 年 月 日(☂) : 
朝、ねぼうした。先生におこられた。
給食のカレーはおいしかった。おかわりした。

 年 月 日(✸) : 
みんな同じクラスだった! 神!
はじめてヒゲそったら口のはじが切れたっぽくて、地味に痛い。

 年 月 日(★) : 
今夜は流星群だって。わざわざ外に出るのめんどいから、もう寝るけど。

 年 月 日(✸) : 
来年は受験生かー。もっと遊びたい。
数学のテストは意外といい点とれた。


『()内は天気を書く欄ではありません。』

年 月 日( )✸:☂
なんか、どっかから落ちる夢みた。からだバラバラになってて「やば!」っておもったけど、ぜんぜん痛くないし、今思えばそっちのほうがやばかった。

 ✕✕、ありがとう! ずっと間違えてた。
( )には何を入れたらいい?


『私は✕✕ではありません。()内への記入の必要はありません。』

 年 月 日( ) : 
また同じ夢見た。すごく高いところから落ちてる。
受験やだな。

 ごめん。なんて呼べばいい?
 あと、天気はどこに書けばいい?

 年 月 日( )☂:
また落ちた。場所は覚えてない。


『天気を書く必要はありません。』

 年 月 日( ) : 


 年 月 日( ) : 
雨がふってて寒い


 年 月 日( ) : 


 年 月 日( ) : 
まだ落ちてる


 年 月 日( ) : 


 年 月 日( ) : 


 年 月 日( ) : 


『人生を記録する必要はありません。正確に夢の内容を書いてください。』

【君が見た夢】

12/15/2025, 2:12:29 PM

なにが不安?
言葉にするのもつらい様子。
その顔をよく見せて。
それから溜息。大きく吐いて。

なにか思い出した?
それは走馬灯では懐かしく感じるかもしれないし、
誰の人生にも記録されない虚像でしかないかもしれない。

なにもしたくなくて、ここにいる?
存分に。
身が朽ちるまでいたらいい。
ともに朝日を浴びて化石になって、粒子に還って波に乗ろう。

明日は宇宙へ旅に出よう。

変更線の無いばしょへ。なにを持ってく?
なにが大切?
この際だからおもい荷物は捨てていこう。
旅に不安はつきものだから。
思えば、ここも旅先だから。

【明日への光】

12/14/2025, 12:48:31 PM

永久恒星なんてどこにもないの
生まれたものは死んでゆくから

探している星は見つからないの
もう望遠鏡にも映らないから

死ぬ瞬間なんて視たくはないの
美しさを求めるのは罪深いから

お母様、みんな死んだら冷たくなるのね

だから永遠を誓うと切なくなるの
星も名付けられる生命だから

【星になる】

12/14/2025, 12:54:13 AM

「いだっ」
「……何故、こんなところに」
「なぜって転寝日和の午後だから、それも経った今終わったけど」
「助教が涙目になって探してますよ」
「今日は休講だよ」
「経った今決めたでしょう」
「うん」
「先週の課題の、答え合わせなんですが」
「答えのある課題なんて出さないよ。なんにも面白くないったら」
「結局判りませんでした。締切だって昨日思い出して、徹夜です」
「一夜漬けじゃないか。君そういうタイプなのか、面白いね」
「判らないのが正解ですか」
「正解は無いよ」
「すると、鐘は鳴らないのかもしれませんね」
「何故そう考えたのかな」
「基本的に私たちは無関心だから」
「…………」
「それとも教授、貴方は『聴こえなかった』とでも言うんですか?」
「いいや。君の言うとおり、私たちは基本的に無関心で、無責任で怠慢だからね」
「そこまでは言ってません。早く起きてください」
「悪いね。ところで何か忘れているよ」
「なんです」
「君に足首を踏まれたんだが」



「教授」
「うん」
「次の講義に遅れます」
「そのようだね」
「急ぎましょう」
「ここから間に合うかな」
「走れば一分前には着きます」
「……では肩を貸してくれるね?」

【遠い鐘の音】

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