懐炉 @_attakairo

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12/12/2025, 1:31:19 PM

暖色と寒色、交互に照らされた夜道を踏み荒らしたくないので迂回した。
美しさとは想像を超える。
想像を超えるものは、やはり想像を超えて遥かに恐ろしいので、人は近づかないほうが良い。
それでも質感が気になって、手にすくってみる。
想像では柔らかな冷たさがあって、すっと溶けた。
実際には激痛に痺れがあって、じんわり熱を帯びたまま。
これが雪。
これが美しさの本性か。さらさらと溶けては消えず、べたりとした触感が残る。
それでも懲りずに、
逆さ箒の枝の幹。
座れない長椅子。
結べない星座。手を伸ばしてはいけないものの正体を確かめる。

明日は快晴。
細氷の眠りが夜道に敷き詰められている。

【スノー】

12/10/2025, 11:58:31 AM

ホットなミルクに はちみついれて
きのスプーンでかきまぜる

ふんわりうかぶ やさしいできごと
あのひと こんやよくねむれていますよに

ベージュのカーテン
もう9じだもの
きっとまんまるね おつきさま
おきにいりのえほん
まだあったかな
ボロボロやぶれていたって いいの
いま なによりもふれていたい

すべてがあたたかで ありますように
むろん
すべてに かこも
ふくまれます

【ぬくもりの記憶】

12/9/2025, 11:30:01 AM

不自然なことに気づいたの。からだの感覚が無くって。
夢の中でも、もう少し何かあると思うけど。うまく走れない怠さとか、熱を持たない痛みとか。
あとはなんだろう。忘れてしまった。
 
そうだ。
なんで貴方は怒っているの、とか。
どうして私は、謝っているの。とか……

やっぱり夢の内容って面白い。夢だと気づいたら、もっと面白い。
絶対に起こり得ないことに対しても、私は真剣に考えて。本気で向かって、全力で生きて。
莫迦らしい。

無駄な想像力に傷ついて。
目が覚めたら涙して。
現実はどう? 今朝見た夢よりも不自然じゃない?
何も思い通りにいかないじゃない。

回想して日記を付ける。他人のような私を書き留める。
体温なんて元から要らなかったのかも。
からだは芯から冷えていくの?
それとも末端から?

鉛筆がみつからない。いつも枕元に置いてあるはずなの。

【凍える指先】

12/8/2025, 10:45:27 PM

 膝のうえで筆を握り、黙り込む。目鼻の先にはまっさらなキャンバスが立っている。
 優秀な生徒が賞を狙って描くものだ。
 それが次の一筆でごみ箱行きになりそうだった。
「君は、なんというか。そうだね……」
 側近のように覗き込む姿勢から、背もたれを回り込んで反対側へ。「そうだね、まるで」
 その教師は右手の親指からみっつ数えて、下へ向け、空中で長いあしを動かした。

 雪原を歩いているようだ――そう言って。

「よくわかりません」
「わかるだろうさ」
 革靴の先をほんの少しだけ浮かし。「次の瞬間、ずぼりと雪に埋もれる感覚」
 ゆっくり下ろす。
 生徒がひとつふたつ瞬きをした。
 絵筆を片時も手離さない。

「一歩先へ杞憂があるのに、目の前の景色はずっと続くと思い込んでる」
 見渡すかぎりの真っ平らな白。しろ。シロ。
 一面を塗り潰すような白があり、
 辺りを覆い隠すような白もあり。
 雪景色は日々生まれ変わっている。一刻、或いは数秒後にも。
「忘れているようだけど、君の目に線や面として映るものは、実はすべて点でできてる」

 きっと。
 遠くを想うあまり雪の中を駆けたとて、足跡の荒さを気にして都度振り返るのだろう。
 ――筆先に色をつけてから、キャンバスを見つめる今のように。

「そもそも君は、なぜ歩いているの?」

「抜け出したいから」
 瞬間、落としかけた筆を生徒はまた取り損ねた。弾けた絵の具が点々と上履きに散る。

【雪原の先へ】

12/8/2025, 4:22:55 AM

わた雲みたいに軽いかも。
湯気のように温かいかも。
指先で文字を描けるかも。

そんなに退屈にしてるなら、
試してみるのもいいかもね。

ほんとうだったら教えてよ。
あと少ししたら会えるから。

【白い吐息】

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