夏畑

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3/13/2024, 3:59:21 PM

『隣に』
今日も私は、写真を撮ります。別に写真撮影という行為に使命を感じているわけではない。しかし、私は、今日も写真を撮ります。青い海、青い空、赤いポスト、緑の森、田んぼ、学校など様々な建物・風景をカメラに映します。
 実は、私は、あまり、写真を撮ることが好きではない。理由は、私は、過去など意味がないと思っているからだ。そんな時にあの人は、教えてくれた。「思い出を形にすることは、素晴らしいことなんだよ」と。当時の私は、心の中で拍手できるほど、尊重できない発言だと感じていた。
 半年前にあの人の訃報を聞いた....
それから、あの人の部屋に入った。すると机の上に私宛の手紙とカメラが置いてあったのだ。手紙には、「このカメラにもっといろんな景色を見せたいと思っている。〇〇さん(私の名前)、このカメラに多くの景色を見せてやってほしい」と書いてあった。私は、少し悩んだが、カメラを持ち、あの人のお気に入りの海に向かった。海にカメラを向け、写真を撮った。すると、「ふふふ」とどこか聞き覚えのある声がした。隣を見ると、あの人が笑っていたのだ。しかし、次の瞬間、消えてしまった。
 その時に私は、なぜ、あの人がカメラを私に託したのか、その真意に気づいた。私は、昔から、この街とは、違う景色に憧れていたのだ。両親も友達も私の憧れに気づいてくれなかった。しかし、あの人だけは、私の密かな願いに気づいていたのだ。
 今なら、あの人に「ありがとう」と言えるのに....。
ずっと隣にいて欲しかったと強く願っている。最高の景色を写した時に隣で笑うあなたをもう一度、見たいと思います。

3/12/2024, 3:21:02 PM

『好奇心』
 私は、クラスメイトのCさんと仲良くなりたいと思っている。しかし、私には、C君とうまく話せるほどコミュ力には自信がない...。そのため、中々、切り出せないのだ。なら、話さなければいいと友達は言う。でも、わたしは、どうしても、C君と仲良くなりたいのだ。理由は、私の初恋の相手だからだ。一目惚れだったのだ。高校生になったが、私の心をあそこまで、震わされたのは、C君ただ一人だ。
 [小学校時代]
今日は、入学式だ。これから、私は、学生としてこの世を過ごすのだ。表では、元気な様子でいるが、内心、緊張している...。入学式が始まる。縦一列に並ぶ。私は、左斜め前をふと見る。そこには、端正な顔をした男の子がいた。あまりにもその男の子の顔が、端正すぎたため、私は、危うく、気を失いそうになった。
その後、入学式が終わったので、C君に話しかけようとした。すると、チャイムが鳴ってしまった。話せなかったのだ。
それから、2学期になった...。私は、一度もC君と話すことができなかった。緊張して話せなかったのではなく、授業が終わると彼は、幽霊のようにサッと教室から消えてしまうからだ。2学期は、話そうと決意した。しかし、2学期に彼の姿は、なかった。いや、クラスメイトも先生もC君のことを存在しなかったかのように振る舞うのだ。一度、わたしは、C君について先生に聞いてみた。先生は、『そんな、生徒はいないわよ』と答えた。私は、それ以降、C君について知ろうとは、思わなくなった...。
[高校時代 現在]
放課後の教室で、私は、C君を見つけた。私は、声を掛ける。すると、C君は、『久しぶりだね、〇〇さん』と言った。私は、自分の名前が呼ばれただけで、ドキドキしていた。私は、思い切って聞いてみた。『C君、一年生の2学期以降、来なかったのか』と。すると、C君は、ハハハと笑う。それから、私の目を見て、低い声でこう言った。『どうして、覚えてるの?』と....。
 私は、放課後の教室で目覚めた。その時、私は、思い出した。この街の言い伝えを...
「昔から、この街には、人間の姿をした人喰いの怪物がいること。その怪物は、小学校の児童の誰か一人を喰らうこと。喰われた児童は、存在そのものが消えること。喰われた児童は、2学期から学校に姿を現さないこと。喰われた児童のことを覚えている人間は、10代のうちにその怪物に襲われること。もし、現れたら、命はないこと」を。
 私は、なぜ、生きているのか、、、。
あの時、C君は、なぜ覚えているのかと言っていた。その時、C君は、泣いていた。つまり、C君は、何年もの間、怪物に姿を乗っ取られ、苦しんでいたのだ。私の記憶がC君のことを忘れていたら、C君は、今日まで、苦しまなくてよかったのだ。ただ、私がいつまでも覚えていたのが悪かったのだ。最後にC君は、泣いていた。彼は、私を喰らわない為に怪物を止めたのだ。
 ごめんね、C君、私のせいだった。私があなたのことを知ろうとするばかりに...。私は、C君に謝れないことを後悔した...。

1/21/2024, 8:28:35 AM

『海の底について』
 海の底には、何があるんだろうか
見たことのない生き物でも潜んでいるのだろうか
その生き物は、日の目を浴びたいと思っているのか、はたまた、静かに暮らしたいから見つけるなと思っているのかもしれない。
 生き物以外にも見つかっていないお宝があるのかもしれないと思ってみる。王冠や絵画などが埋まっているのかもしれない。
 『海には、さまざまな想いたちが彷徨っているんだよ』と昔、とあるクラスメイトが教えてくれた。海を考えたり、観たりしていると、彼のことをよく思い出す。初めて、聞いたときは、『何を言ってるんだ』と思っていた。しかし、最近は、たしかになぁと考えが変わっていった。今なら、彼のその発言を讃えたいと思っている。
 知らぬ間に、僕の想いも、海の底を彷徨っているのだろうか。

12/22/2023, 7:02:06 AM

『大空が広がる』
教室の窓から空を眺めていた。大きな空を眺めていた。青い空には、太陽が飾られていて、まるで、絵画のようだった。眺めながらこんなことを考える。私は、あと何回、青空を見ることができるのかと。私の目の前に広がる青空は、いつもきれいだった。私の心がどれだけ黒くなっても汚れても青空は、青いままだろう。そして、輝き続けるだろう。私は、それが非常に羨ましかった。もう一度、私の心を清くしてくれないかな、神様。
 入学式の時に見上げた素直な空、避難訓練の時に見上げた眩しい空、行き道に見た空、自分の部屋から眺めた空。全て青い色をしていた。
 懐かしい景色と共に大空が広がっていく。

12/15/2023, 11:12:02 AM

『雪』
昔は、雪よ降れとずっと言っていた。そして、雪が降れば飛び跳ねるように雪に向かっていった。最近は、雪よ降れとも言わなくなった。逆に寒いから降らないでくれと思うばかりだ。でも、近年は、雪が降れば面白いのではないかと思い始めた。なので、今年の雪を待とうと思う。

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