夏畑

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『好奇心』
 私は、クラスメイトのCさんと仲良くなりたいと思っている。しかし、私には、C君とうまく話せるほどコミュ力には自信がない...。そのため、中々、切り出せないのだ。なら、話さなければいいと友達は言う。でも、わたしは、どうしても、C君と仲良くなりたいのだ。理由は、私の初恋の相手だからだ。一目惚れだったのだ。高校生になったが、私の心をあそこまで、震わされたのは、C君ただ一人だ。
 [小学校時代]
今日は、入学式だ。これから、私は、学生としてこの世を過ごすのだ。表では、元気な様子でいるが、内心、緊張している...。入学式が始まる。縦一列に並ぶ。私は、左斜め前をふと見る。そこには、端正な顔をした男の子がいた。あまりにもその男の子の顔が、端正すぎたため、私は、危うく、気を失いそうになった。
その後、入学式が終わったので、C君に話しかけようとした。すると、チャイムが鳴ってしまった。話せなかったのだ。
それから、2学期になった...。私は、一度もC君と話すことができなかった。緊張して話せなかったのではなく、授業が終わると彼は、幽霊のようにサッと教室から消えてしまうからだ。2学期は、話そうと決意した。しかし、2学期に彼の姿は、なかった。いや、クラスメイトも先生もC君のことを存在しなかったかのように振る舞うのだ。一度、わたしは、C君について先生に聞いてみた。先生は、『そんな、生徒はいないわよ』と答えた。私は、それ以降、C君について知ろうとは、思わなくなった...。
[高校時代 現在]
放課後の教室で、私は、C君を見つけた。私は、声を掛ける。すると、C君は、『久しぶりだね、〇〇さん』と言った。私は、自分の名前が呼ばれただけで、ドキドキしていた。私は、思い切って聞いてみた。『C君、一年生の2学期以降、来なかったのか』と。すると、C君は、ハハハと笑う。それから、私の目を見て、低い声でこう言った。『どうして、覚えてるの?』と....。
 私は、放課後の教室で目覚めた。その時、私は、思い出した。この街の言い伝えを...
「昔から、この街には、人間の姿をした人喰いの怪物がいること。その怪物は、小学校の児童の誰か一人を喰らうこと。喰われた児童は、存在そのものが消えること。喰われた児童は、2学期から学校に姿を現さないこと。喰われた児童のことを覚えている人間は、10代のうちにその怪物に襲われること。もし、現れたら、命はないこと」を。
 私は、なぜ、生きているのか、、、。
あの時、C君は、なぜ覚えているのかと言っていた。その時、C君は、泣いていた。つまり、C君は、何年もの間、怪物に姿を乗っ取られ、苦しんでいたのだ。私の記憶がC君のことを忘れていたら、C君は、今日まで、苦しまなくてよかったのだ。ただ、私がいつまでも覚えていたのが悪かったのだ。最後にC君は、泣いていた。彼は、私を喰らわない為に怪物を止めたのだ。
 ごめんね、C君、私のせいだった。私があなたのことを知ろうとするばかりに...。私は、C君に謝れないことを後悔した...。

3/12/2024, 3:21:02 PM