白米おこめ

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12/4/2024, 2:32:30 PM

通勤時に見た、ふたり並んで登校する高校生に
学生時代の自分と彼女の姿を空目した。

君と並んで歩いた時間。
しがらみから解放されて、ただの人となって、
好きな事だけを話せる時間。
駅から学校まで、行きで15分。
帰りは、ちょっとゆっくり歩いて20分。
幸せな時間を挙げるとしたら、
多分こういう時間なんだろうな、と今になって思う。

たまに走って、息を切らしながら乗り込んだり。
目の前で電車を逃して、
駅のベンチでまた次の電車を待つまで喋ったり。
…話し足りないから、早足でも間に合うような電車を
わざと見送ったりして。
いつだって私達は、遮断機が降りる音を聴きながら
電車の音にかき消されないように話していた。

反対方向の電車に乗る君が、電車が来てから、
向こうのホームに行くまでのその数分。

その時間が、数分なのに、惜しい。
今の私にはもう、二度とない時間。
だから、今朝見た学生達のように、
私達がまたあの時に戻れたのならば。

私はきっと、彼女の袖を引っ張って、
最後の電車を乗り過ごすんだ。
もう二度とない時間を、もう少しだけ、温めるために。


「さよならは言わないで」 白米おこめ(遅刻)

12/2/2024, 12:28:56 PM

むぎゅ。

眩しさに目をつむる音。
眩しさに抱きしめられる音。

そうやって光に包まれている時、
後ろからは影がそっと自分の背中を支えてくれている。

目が灼かれないように、
闇がそっと目の中の色を消してくれている。

光と闇。真逆のようでいて、隣り合う存在。
どちらか一方だけでは成り立たない。存在しえない。
その確約された存在の狭間で、私達は生きている。

産まれたその時から、分娩室のライトに照らされて、
母の胎に影を落としている。
そうやって生きて、死して尚、ろうそくの光に照らされて、
骨壷や墓標からずっと影を落とし続ける。

光だけでは影を生み出せず、影だけでは光を生み出せない。
狭間に何かが、
私達がいるからこそ光と闇は共存できるのだ。


光と闇。それと私たちは、共依存である。

光と闇の狭間で、私たちは存在を維持している。


「光と闇の狭間」 白米おこめ(加筆)

12/1/2024, 12:02:06 PM

あなたとの距離が近づく度に、
怖くて離れる僕を許してください。

遠くで見つめるくせして、目が合うと
何でもないふりをしてしまう僕を見ないでください。

近づきたいくせに、勇気がなくて
ちっぽけな一歩も踏み出せない僕に気づかないでください。

お願いだから、そんなに近づかないで。
僕は、あなたが近くにいるともうどうしようもないんです。
だから後ろに下がるしか、方法がなくて。

そうやっていつも逃げていたら、
気づかないままあなたと背がぶつかってしまって。

固まる僕に近づいたその距離の分だけ、
また彼女のことを好きになってしまったんだ。

「距離」 白米おこめ

11/30/2024, 11:19:50 AM

あなたの目尻をそっと舐める犬。

「泣かないで」 白米おこめ

11/29/2024, 11:29:16 AM

悴む指先で、自販機のボタンを押して、
あたたかい飲み物を取り出す、その瞬間。


「冬のはじまり」 白米おこめ

コンポタはじっくりコトコト派。

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