あぁ、また。
母が癇癪を起こす。
多分、数分後に。
そんな予感がして、素足のまま裏口からそっと抜け出した。
二階建ての一軒家。
それが私の住む家。
そこまで大きくなく、傷んでいて、所々、床が軋む。
朝の四時頃。
母はルーティーンのように、大体決まった時間に癇癪を起こす。
理由はいろいろ。
うまく眠れないとか、スマホゲームで失敗したからとか、昨日の事を思い出したからとか。
そう言う時は、大体私にとばっちりがとんでくる。
きっと、いろいろあるんだろう。
早朝の空気は澄んでいて、時折、喉を突き刺すような寒い風がふく。
この季節になると、毎朝抜け出すのは億劫だ。
とは言っても、殺されてはたまらない。
素足のせいで、小さな石ころが足に突き刺さる。
足の裏はぼろぼろだ。
私は毎日、小さな川にかかった、小さな橋で暇をつぶす。
ほとんど誰も通らず、川に流れる水の音だけが聞こえるような場所だ。
川の水は凍るように冷たい。
それから、とても綺麗だ。
水をすくって、顔を洗う。
冷たい物を一気に口に入れた時のような感覚が大嫌いだ。
しかし、今日はあまり頭に響かなかった。
予感
フィクションですよ。中途半端なところで切ってごめんなさい。こういうの書きたかったんです。
僕がいるのは、霧と光が分かれる場所、の光の部分。
それはまるで境界線のように、何かを分けていたんだと思う。
どうしてか、僕はそこにとどまった。
数秒もしないうちに、誰かが、霧の中から、僕に近づいてくるようだった。
だんだんと、シルエットが浮き出てきて、僕は気づいた。
随分前に亡くなった彼女だと。
はっきりしない姿で、僕の前に現れた彼女は、こちらに手を伸ばしてきた。
その手もまた、分厚い霧に阻まれて、ぼんやりとしか見えはしない。
僕はふと、懐かしさに駆られ、欲望に負けた。
声を出さず、彼女の手に自分の手を伸ばした。
彼女は少し、優しく僕の手をとったようだった。
握られた手から伝わるのは、優しい感触ではなく、ゴツゴツとした、細い骨の感触だった。
そう認識して数秒、彼女と繋いでいる手から突然、思いっきり鉄のハンマーで殴られたような激痛が走った。
僕が自分の手を引っ張ると、彼女は驚くほど簡単に離してくれた。
手を見ると、何かに噛まれたような形がついていて、全体に血が広がっている。
彼女の方を見ると、今度は僕を求めているように、手招きしていた。
僕が彼女を認識して、それでも動かないのを見ると、彼女は少し手を振って、霧の向こうに消えていった。
光と霧の狭間で
愛は、何でできているのだろう。
愛から恋を引いたら、何が残るのだろうか。
憎しみか、尊重か、嫉妬か。
結局、その人が、誰をどんな思いで見ているかによると思う。
誰に対して、どんな愛し方をしているのか。
………そういうことじゃない?
……もしかして、このお題、愛に恋が入っている時のことを聞いてる?
それは失敬。
そろそろ更新しようかと思って。
愛−恋=?
多分、誰も知らない。
気にしない。
路上に居座る小さな命。
気づかれないで踏み潰されることだって、あるかもしれない。
道を譲らないあの人は、きっと、足元なんて見ないだろう。
“花”と目線を交わすことなんて、ないかもしれないけど。
“花”は一途に、目を合わせようとしているのかもしれない。
一輪のコスモス
ごめんなさい。
何回だって、心を込めて謝るから。
甘美な誘惑に、耐えきれなかった私を、どうか許して。
艶のある唇が、柔らかい手のひらが、粘っこい視線が、強く締め付けて離してくれないの。
貴方がどれだけ手を握っても、あの人は私を抱きしめてくるのよ。
今日だけお願い。
見逃して。
今日が終わったら、私も明日から、普通に戻るわ。
今日だけ許して