ミツ

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1/14/2026, 11:41:13 AM

ああ嫌だ!!!

嫌だ嫌だ嫌だ!!

産まなきゃよかった!!

こんな子供!!

可愛くもなんともないじゃない!!

死ぬような思いまでして、やっと産んだ子供なのに!!!

ぶよぶよで、赤くて、何もかわいくない!!

まるで私の嫌いなアレ!!

ああ、気持ち悪い。

やっと大きくなって、“普通”の子供になったのに!!

色んな物を壊して、すぐ癇癪を起こして、泥だらけで帰ってきたと思ったら、ご飯はまだかと……。

どうして感謝してくれない相手に、こんなに尽くさないといけないの??

辛い辛い。

本当に、もう…。

自分の子なのに!

愛してるのに…。

……あいしてる?

あら。

私、アレのこと、あいしてたかしら。

あら?

愛おしいと思ったことが……?

あら?

変ね。

おかしくなってしまったの?

でも、もしもこれで、私が楽になれるのなら。

私は……。


私は、穏やかに眠るその顔を見ながら、そっと、柔らかな首に、手をかけていた。


どうして


そろそろスキー授業が始まります…。やだー。

1/5/2026, 6:50:14 AM

「貴方は今、幸せですか?」

あなたはいま、しあわせですか?

アナタハイマ、シアワセデスカ?

ぐるぐる回っている。

頭の中で、ずっと。

耳の奥で、響いている。


どこで聞いたんだっけな。

テレビを見ながら、ふと頭に浮かんだ言葉。

『貴方は今、幸せですか?』

えーと。

なんだっけ?

えー。

んん。

んーと…。

えー…。

誰から言われたんだっけ。

そもそも自分に言われた言葉ではない?

なんだっけな。

玄関で…そう。

玄関で聞いた気がする…。

えーーーー。

あっ。

そうか。

思い出した。

変な声が聞こえて、外に出たら、人がいたんだ。

なんて言ってたっけ。

確か…………なんとか教。

なんだっけ。

どうなったんだっけ、そこから。

中に入ろうとしてきたから……。

えー………と。

そう。

押し出したんだ。

で、えーと。

鍵をかけて……。

えー。

あ、そうか。

今がその後か。

…そうか。

外から変な声が聞こえるのはそのせいか。

「「貴方は今幸せですか!!!私たちの神が仰るには!!」」

あーだこーだ。

煩いな。

帰ってもらおう。


ガチャ


「あのー」

「「教えを聞く気になったんですね!!外ではあれなんで、中お邪魔しますー」」

「えっ、いや。え。あの。」

「「失礼しますね!」」

「えっ。駄目です!!でてってください!」

「「あっ、貴方ちょっと!!!」」


ガチャ


ふー。

そうだった。

入ろうとしてきたから、鍵をかけてたんだ。

そうだった…。

……。

………………。

……………………………?

なんだっけ、テレビでも見よう。


 幸せとは

12/17/2025, 12:10:21 PM

辺り一面真っ白だった。

空と地面の区別もつかない日に、私は彼を見つけた。

真っ黒な服で全身を包む彼は、世界から切り離されているかのようにも思える。

どこかを見つめる姿は、神秘的だった。

数センチ先だって見えるはずがないのに、まるで何か明確な意思を持って見つめているように。

それが舞い落ちる雪に向けられていたのか、はたまた別のものだったのかは分からない。

彼は、私に一瞥くれたあとも、またどこかを見つめていた。

小さく私の方へ手招きをしながら。


彼は時折口を動かしていた。

何か言っていたのかは分からない。

私の耳に聞こえるのはただ、私が時々、踏み固める雪の音と寒風の切り裂くような音だけだった。


雪が、音を吸収する。

彼が発したかもしれない声も、例外なく吸収される。

それを、少しだけ憎らしく感じた。


 雪の静寂

12/4/2025, 10:39:50 PM

乱雑に郵便受けの中に手を突っ込む。

指先に感じたのは、柔らかくて少し硬い、沢山の紙の感触。

彼は白い息を吐きながら、それらを無造作に引っ張り出した。

見ると、堅苦しい字で書かれた手紙や、几帳面に封緘された手紙、可愛らしい柄のある手紙などが十枚程度届いている。

彼は家に上がると、まず封のしてある手紙から、一通一通丁寧に中身を出した。

そうして出した手紙と、封のしていない手紙とを順番に座卓に並べる。

それに満足すると、左上の手紙を手に取った。

どうやら読むらしい。


太陽は真上に昇っていた。

いつの間にか、通りは騒がしく、鳥はさえずることをやめている。

彼も、あらかた手紙に目を通しおえたようだった。

手紙を一つの束にまとめ、立ち上がり、タンスに向かう。

一番上の引き出しを、静かに引いた。

中には、複数枚に分け、一纏まりにしてある手紙の束がぎっしり詰まっていた。

彼はそれらの上に、今年届いた手紙の束を投げるように置いた。


 秘密の手紙

12/2/2025, 11:02:21 AM

たとえ自分が、二千円のものを買ったとしても、それと同等の値段のものが返ってくるとは限らない。

大体は、数百円で買える安いもの。

でもいいの。

問題は値段じゃなくて、相手の気持ちだから。

………普段からずっと気にかけてた人に、同等の気遣いも返されないまま、見切られるのってどんな気分?

正直に言うとね、同等の価値があるものをもらいたい。

……思い返せば、なにも返してもらったことないかもな。

だいたい三千円とかのものあげてたのに、誕生日プレゼントも、ホワイトチョコのお返しもなし。

別に特別私に優しいわけでもない。

なんだか長い夢から覚めたかんじ。


 贈り物の中身

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