ゆま

Open App
7/31/2025, 3:08:19 AM

 
砂漠のように乾いていた。
煩わしい日常に足をとられ、理不尽は容赦なく照り付ける。
あたりを見回せど、同じ景色が続くだけ。
果て無く続く地獄を前に、何もかも諦めてしまいたかった。
 
けれど。
 
見つけてしまった。出会ってしまった。
わたしだけのオアシス。
 
 
ステージの上に立つあなた。きらきら。乾いた心を満たしていく。
私の世界にともった、消えない彩り。何にも代えがたいそれが、生きる理由になっていく。
世界の灼熱もこわくない。
その輝きを追いかけていくために――わたしの鼓動は脈を打つ。
 
【熱い鼓動】

7/30/2025, 5:07:52 AM


住宅地、十字路、息をひそめて時を待つ。
朝7時27分。
曲がり角の向こうから、もうすぐ君がやってくる。
 
ここ数週間張り込んだ成果。
君の朝のルーティンも、しっかりばっちり把握済み。
ランニングを終え、朝ご飯を食べて。規則正しく、美しく。
 

前髪OK。スカート丈も理想の長さ。
身だしなみは完璧に。360度どこから見ても、君の好みのど真ん中。
 
高鳴る心臓のカウントダウン。
1,2,3――さあ、恋を始めよう。
 

【タイミング】

7/23/2025, 5:04:20 AM




約束を交わした。
それは何気なく落とされた。別れ際に手を振る、そんな気軽さとともに生まれた言葉。
絶対だよ、そう答えて。手を振り返したあの日を鮮明に覚えている。
 
あれからずいぶん時は流れて、僕はすっかり大人になった。
 
夏休みの最後。
自転車にまたがった君の笑顔が、鮮烈な残響を残している。
ぶかぶかの麦藁帽。日焼けした肌に伝う汗。
あの日と同じように、夏を追いかけられたのなら――。
 
果たされないままの夢が、僕を今日まで生かしている。

 
【またいつか】

7/18/2025, 5:02:09 AM

太陽の矢を受け止める、柔らかな盾。
木漏れ日のもたらす安息の中で、民はしばしの憩いを求める。
今、一羽の鳥が飛び立った。
ゆらり木の葉は手を振って、彼の勇士を静かにたたえる。

どうか無事に、またこの場所で。
 
【揺れる木陰】

7/16/2025, 2:48:47 PM

ずっと追い求めてきたけれど。
いざ叶ってしまうと、呆気ないものね。

掴み取った勲章を握りしめて、私はひとり街を歩く。

あんなに夢中になっていたのに。
あんなに必死になっていたのに。

今の私は、なんだかからっぽ。

燃え尽きてしまったのかしら。
願わくばもう一度、冷めない夢を。


【真昼の夢】

Next