後ろなんて振り返らない。
そんな暇があるなら走らなきゃ。
前に進むことでしか、私は私を許せない。
立ち止まったままでは、この足は腐り落ちてしまうから。
そうやって、ひたすらに息を切らして。
たくさんの人を追い越して、置き去りにして。
気付けば、ただ、真っ白な景色。
自分の呼吸と、心臓の音。地を蹴りつけるだけのリズム。
それ以外、何もない。
ランナーズハイ。
都合のいい高揚が、私を包み込む。
どうかこのまま、冷めない熱に浸らせていて。
【後悔】
わたしはあなたの呪いになりたい
バス停で、ひゅうと風が吹いたとき
帰り道、どこかからカレーの匂いがしたとき
ふと、思い出のメロディを口ずさんだとき
わたしがいたはずの空白を感じてほしい
本当は幸せを願うべきだとわかってる
強く前を向いて歩いていけるよう
そっと手放すべきだって
わかっているわ
でもね
これは一世一代のわがまま
どうか最期に
この花を受け取って
【勿忘草】
無人の遊具がゆらゆらゆれる
まるで泣いているみたいだ
きしんだ音をたてている
夕やけこやけでまた明日
ざわめきは残響だけをのこして
それきり凪いだ世界にひとりぼっち
去り行く背中に手を振りながら
長く伸びた影は誰より明日を待ち侘びている
大人になっていく君たちを
見守って
見送って
いつまでだって、ここにいる
【ブランコ】
街へ行こう! 鬱屈した気分晴らしに
街へ行こう! 外はお日様ぽっかぽか
街へ行こう! 閉じこもってちゃ勿体無い
待ち合わせの時間は過ぎてる
君は待っててくれるかな
街へ行こう! 話したいことがある
街へ行こう! 伝えたいことがある
たくさん、たくさんあるんだ
だから
君に君に 逢えるかな
街へ行こう! 饐えた匂いに満ち満ちた
街へ行こう! 護身に一応金属バット
街へ行こう!
街へ行こう!
ゾンビであふれる、街へ行こう!
【街へ】
あなたが好き(あなたが嫌い)
口で
腕で
時折足で
あなたの愛は乱暴で
ひとりよがりに語られる
おかげでわたしは痣だらけ
いたい(くるしい)
いたい(にげたい)
それでもあなたと
さみしげな瞳からこぼれる
ひだまりのような光
そのあたたかさが忘れられないの
離れられない(離してくれない)
甘い毒にほだされて
わたしはあなたを赦してしまう
愛が溶けてく
蝕まれてく
いっそあなたを
殺せたのなら
【優しさ】