No.41:嗚呼
#人外Tさんと
月に照らされる君が、酷く綺麗だった
何時もは眩し過ぎる程の笑顔を向けるのに。
この時間、闇の中で向けてくれる笑顔は、変わらぬ優しさが、淡い美しさを纏っていた。
「...どうしたの?○○君」
ジッと見すぎてしまったのだろうか
君が、僕に問い掛けてくる。
...僕はそれに「なんでもない」と返したかったのに
「...月が綺麗だな...って」
君を見詰めながら、そんな事を言ってしまった
...なんでかは分からない、けれど
僕の返事を聞くと、一瞬だけ君は呆けた様な表情を浮かべて
「...んふ、」
「?」
「...なら、ずっと月を一緒に見てくれますか?」
「...!!」
ふわっと微笑み、そんな事を口にした
...嗚呼、彼は意味が分かっているのだろうか
君の事だから、分かっているのだろうけれど
「...嗚呼、君は本当に」
”狡い人だ“
そう言いながら、返事の代わりに、君を優しく抱き締めた
No.40:秘密の場所
#人外Rさんと、人外Dさん
※と、__さんまで続く時は、”と“の後に続く人の視点です(今回の場合だと人外Dさん)
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鼻を掠める木々の匂いを振り切るかのように、
夕暮の差す見慣れた林道を、足早に進んで行く。
自分でも、よく分からない。
別に急ぐ理由も、何も無いはずなのに
何かに突き動かされる様に、進んで行く
「?あ!○○殿!」
すると、目的地に着くと、
何時もの場所に、何時もと変わらない笑顔を浮かべ、こちらに手を振る彼奴が居た
「...珍しいね、こんな時間に来るなんて__」
「□□」
ツラツラと言葉を並べようとしているのを他所に、俺は思いっ切り彼奴に抱き着いた。
「...」
それに特に声を上げることも無く、此奴は抱き着く俺の背中に手を回した。
「......○○殿、大丈夫だよ」
ここには誰も来ないから
...普段の自分からは考えられない行動なのに、何をしに来たかも分からずモヤモヤしていたのに。
此奴の温い温度に、優しい声色に、全て溶かされた様な気がした。
「...すみません」
「なんで謝るの〜」
抱きしめる力を強め、口だけの謝罪を零せば、笑い飛ばす様に返される。
...心地良かった
ここに来れば、なんでも受け止めて貰えるような気がして
誰にも見られず、何も聞かれず、ただ身を委ねさせてくれるから
とある森の、奥深く。
誰も居ない、此奴と二人だけの空間で
俺は抱き着く力を強めたのだった
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誰にも見つからない、秘密の秘境を作って良かったと思う
最初は嫌がっていた、最初は「一生来ない」等と豪語していた。
けれど今では、何かと出入りしてくれるようになった。
ここに居れば、ここに来れば
彼は、僕にしか見せない弱い一面を見せてくれる
それが...僕は堪らなく嬉しかったのだ
No.39:ラララ
#人外Rさんと
「〜〜♪〜〜」
窓際に座る彼が、鼻歌を歌う
...決まって、機嫌の良い合図である
本人は無自覚だろうが、僕は鼻歌を歌う彼”も“好きだ
勿論、全部大好きだけど
楽しそうに紡がれる音が、音を奏でる彼が心底綺麗で
何より__
「○○ちゃーん!どぉしたの?今日は機嫌が良いね」
窓際まで移動し、正面から抱き着く
「あ、□□さん。ふふ、分かりますか?今日の商談が思いの外上手くいったものですから」
何時もなら嫌味の1つが飛んでくるのに、今日はそれもなく。なんなら可愛らしい笑顔まで向けてくれる
「そうなの!?相変わらず凄いねぇ○○ちゃんは」
「ふふ、もっと褒めてくれても良いんですよ?」
「甘えだぁ♡○○ちゃん可愛い〜♡」
そう言いながら頭を撫でると、彼は更に嬉しそうにくふふと笑うものだから。
__僕は鼻歌を歌う彼も好きだ
その時の彼は、決まって沢山笑ってくれるから
No.38:風が運ぶもの
#人外Rさんと
詩を歌う
誰にも聞かれない、真夜中の空で
詩を歌う
君に届けたい、愛の詩を
詩を歌う
頬を伝う水を無視して、どうか届きませんようにと
詩を、歌う
...どうか、どうか
「夜風に釣られて、君の夢に吹けばいいのにと」
No.37:question
#人外Tさんと
質問したら、どんな事でも答えてくれる君
分からなくても、一緒に考えてくれる君
...そんな君に聞いても、返事を返してくれなかった事が1つだけあった。
別に分からなくなかった
僕は、その答えを知っていた。
でも、...否、だからこそ
「ねぇ、僕、君の事が好きなんだ」
真っ赤な顔で震える君を見れば、聞かなくてもいいのに
「○○君は...どう?」
君からの答えが聞きたかったんだ