No.7:隠された手紙
一つのメモ書きを見つけた
ただ二言、書き殴られたもの
見つけてしまった
見つけられてしまった
僕はその場から駆け出した
お菓子を買いに行く、と外へ出た彼を追いかける為に
僕の名前と、それと...
「僕も好きだよ、__。」
No.6:バイバイ
「バイバイ」って、泣かないで
「またね」って言いながら、僕と一緒に笑おうよ
別れじゃなくて
次会う迄の、準備期間
だから一緒に笑おうよ
いつの日か、君が言ったこの言葉
...君が言った事なのに、
「またねも、言えなかったじゃん...」
...頬を生暖かい何かが伝うのを感じつつ、私は目の前にいる無表情な彼を見詰めていた
No.5:旅の途中
太陽が落ち、夜の帳を降りる、その間程のある一時
視えてしまった最期
彼が生きていく永い時を、僕は一緒に過ごせないらしい
空を眺める僕は、そんな事をぼんやりと考えていた
「あ?どうしたんだよお前」
珍しく辛気臭い顔をして
座る僕の目の前にいる彼は、相変わらずの顰めっ面で。
でも、何処か眉が下がっているようにも見えて
「君が心配なんてそれこそ珍しいね」
「心配してねぇよ調子乗んな!」
「ふふ、素直じゃないなぁ」
返事が分かっていながらそんな事を言うと、案の定彼は大きく舌打ちをした。
「...ったく、心配して損した...」
そんな事を言いつつどかっと隣に腰を下ろす彼に、優しいねなんて言ったら退かれてしまいそうだから辞めておく
...いつも通り過ぎる彼に、なんだか悩んでいたのが僕らしくないなっと、馬鹿らしくなって
「ありがとうね」
言おうとしていた言葉の代わりに、お礼を口にする
「は?なんだよ急に気持ち悪い」
「こっちの事だから気にしなくていいよ」
「ふーん...」
興味なさげな返事をした彼は、そのまま別の方向を向いてしまった
...彼が生きていく永い時を、僕は一緒に過ごせないらしい
けれど、だからこそ
残りある時間を、彼と出来るだけ過ごしていこう
隣の彼に身体を預けながら、僕は一人心に決めた
「なんだよお前!急に重いんだよ!!」
No.4:まだ知らない君
初めまして
そういう貴方を、僕はずっと前から知っていた
待って、待って、待ち続けて
ようやく逢えた、僕のお兄さん
貴方は知らないんでしょうね
貴方を助けている僕は
先の未来...いや、過去の貴方に救われるんですよ
幾らでも待ちますよ
待つのには、随分慣れてしまったから
...でも、叶うなら
「早く貴方に、あの時の様に名前を呼んで貰いたいな」
No.3:日陰
太陽の当たらぬ道を歩いていた
ただ本能のままに、先の見えない道を
その時、突然君はやって来た
暗い暗い道を照らす
暖かな太陽のような君が
そんな君に、どうしようもなく触れたくて
困難なんて関係ない
周りなんて関係ない
ただ、その光だけを目指して走った
走って、走って、走って...
嗚呼、
「やっと逢えたね、お兄さん」