No.5:旅の途中
太陽が落ち、夜の帳を降りる、その間程のある一時
視えてしまった最期
彼が生きていく永い時を、僕は一緒に過ごせないらしい
空を眺める僕は、そんな事をぼんやりと考えていた
「あ?どうしたんだよお前」
珍しく辛気臭い顔をして
座る僕の目の前にいる彼は、相変わらずの顰めっ面で。
でも、何処か眉が下がっているようにも見えて
「君が心配なんてそれこそ珍しいね」
「心配してねぇよ調子乗んな!」
「ふふ、素直じゃないなぁ」
返事が分かっていながらそんな事を言うと、案の定彼は大きく舌打ちをした。
「...ったく、心配して損した...」
そんな事を言いつつどかっと隣に腰を下ろす彼に、優しいねなんて言ったら退かれてしまいそうだから辞めておく
...いつも通り過ぎる彼に、なんだか悩んでいたのが僕らしくないなっと、馬鹿らしくなって
「ありがとうね」
言おうとしていた言葉の代わりに、お礼を口にする
「は?なんだよ急に気持ち悪い」
「こっちの事だから気にしなくていいよ」
「ふーん...」
興味なさげな返事をした彼は、そのまま別の方向を向いてしまった
...彼が生きていく永い時を、僕は一緒に過ごせないらしい
けれど、だからこそ
残りある時間を、彼と出来るだけ過ごしていこう
隣の彼に身体を預けながら、僕は一人心に決めた
「なんだよお前!急に重いんだよ!!」
1/31/2025, 11:49:42 AM