冬至。

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4/10/2026, 10:19:06 AM

彼の行動が問題視されて彼の粛正が実行された日。
彼は敵対する藩から襲撃を受けたという事になっていた。
その実はひっそり自分らの仲間の手によって粛正されたのだ。
僕はそれを知っていた。
そしてその現場にも居合わせても居た。
そう、居たのだ。
何より彼に最期のとどめを刺したのは自分だった。
悩みに悩んだ。
これは本当に必要な殺生なのか彼はまだうちらの組に必要な人ではないのか。
何よりもこの人は自分らの仲間ではないか!!!
深手を負った彼を前に最後の一振りがどうしても上げられない。
そんな僕に彼は笑いながらこう言った。
「こんなんじゃ生き延びたって恥だ。盛大に真正面から切ってくれ」
もう動けない彼は到底逃げ切れない。
それは誰が見ても分かる状況。
それでも…!!!
割り切れない僕は彼を見つめるばかりで動けない。
「俺をやらないと歴史を作れないんだろう?いい国にするんだろう?泣いてばかりいないで顔を上げるんだ」
ぼやける視界の中であの人は楽しそうに笑っていた。
「早くやれ。そんなに長くは意識が持たない」
「でも…!!!」
「お前の刃で死にたいんだ」
息も切れ切れにそう告げる彼はなおも笑って語りかけてくる。
「いい国にしてくれよぉ」
もうぼやける視界で前も見えないまま刀を精一杯振り下ろした。
刀の先から鈍く何かを切り裂く感触が伝わってきた。
いつまでもその感触は消える事はなかった。


彼が辻斬りにあった事。
それが敵対する藩の仕業である事。
それはその日のうちに仲間に伝わった。
これがきっかけで自分らの組の士気が上がった事。
二つに分断されていた派閥がひとつにまとまった結果となった。
その裏では彼をよく思ってなかった人たちが彼が殺生されてよかった、これでよかったのだと囁いてるのも聞いた。

でもね、彼は誰よりもこの国の事を案じていたよ。
僕はそれを知っているし、そしてそれをずっと忘れない。
彼は素晴らしい武士だったよ。
彼はこの国を笑って暮らせる世にしたかった。
少し強引に押し進めようとしただけで、それだけだったんだ。
正しいとは何なのか。
僕はよく分からなくなった。
自分が信じる正義とは。



           💙⚔️(誰よりも、ずっと)

4/9/2026, 9:45:05 AM

永遠を信じないおれに永遠をくれた君。
今日も元気にしてるかい?
おれも元気だよ。
仕事でちょっと離れてるだけだけどもう寂しいよ。
本当はずっと一緒に居たいんだ。
でも仕事しないと生きていけないもんね。
こんな事言うと君はきっと「仕事辞めて俺の側に居ろ」とか平気で言っちゃいそうだから口が裂けても言わないけど。
仕事が終わったら会いに行くからね。
大人しく待っててね。
帰ったらまたたくさん語ろう。
そしてたくさん愛してね。


             (これからも、ずっと)

4/8/2026, 9:20:08 AM

海沿いの会社の帰り道。
辺り一面を真っ赤に染め上げる夕日。
それを何の感情もなく見つめる。
訳もなく涙が出る。
そんな感じ。
足りているはずなのに何か足りていない。
心の隙間を埋める何か。
オレンジにあたしを染め上げるその夕日がすごく綺麗でそして、とても物悲しかった。
あたしはなにを欲しているのだろう。
あたしはなにをしたいのだろう。
あたしはなにを…。
ううん、そんな事はどうでもいい。
お願い、
誰かあたしを抱きしめて。
そして「大丈夫」だと言って。


                  (沈む夕日)

4/7/2026, 10:05:45 AM

横からの刺さるような視線に耐えきれなくなって恐る恐る隣りの彼を見る。
「なに?」
「君の目って…」
真っ直ぐ見つめて何を言うのかと思ったら
「アーモンドチョコみたいだね」
と少し間を開けてにっこりと笑ってそう言った。
「お前がそう言うと本当に抉り取られて食べられそうで怖い」
「何だよそれ」
冗談のつもりで言ったのに。
その後に続いた言葉に凍りつく。
「本当にやっていいならとっくにそうしてる」
すっと伸びて来た手が俺の頬に触れる。
「それは本当に遠慮してください」
さり気なく後ずさる俺から手を離すと
「えー残念だな」
うっすらと笑って名残惜しそうに呟いた。
「本当に美味しそうなのに」
その顔があまりにもきれいに笑うから。
とりあえず凝視出来なくなったのでその顔を明後日の方向に押しのけといた。



             (君の目を見つめると)

4/5/2026, 10:09:01 AM

「それでいいよ」
なんて適当に相槌打つから腹が立ってその指差した指をつかんで引き寄せた。
「それでいいじゃなくて、それが!いいね!!」
突然のおれのキレた様子にちょっと呆気に取られた様子の彼はふっと軽く笑って。
「ごめんごめん。それがいいよ、それでお願い」
おれの頭を撫でた。
「ワカレバヨロシイ!」
それだけで機嫌が治ってしまう自分もなかなか適当な性格をしている。
ことばの選び方って大事だ。
ほんの些細なことでもちゃんと向き合っていきたい。
いつだってきみと心地よい関係で居たいのだ。


                 (それでいい)

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