冬至。

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4/4/2026, 9:28:47 AM

「はっぴばーすでー!!」
勢いよくドアを開いて遠慮なしにドタドタ入って来るコイツは10何年になるだろうおれの友だち。
1番近いおれの友だち。
いきなりの侵入者に驚いて振り向くとその手には大きなケーキが乗っていた。
思わず怒るのを忘れて笑ってしまう。
「何それどーした」
「何ってお前の誕生日だろ。さぁさぁロウソク消して消して」
目の前に差し出されたその大きなケーキにはすでに火が灯されていて白いケーキの上でゆらゆら揺れていた。
「お前…それ点けて入って来たの?普通に危なくね?」
「上手に持って来たから大丈夫!」
謎の自信と共にさらにおれの顔に近付けてくる。
「ロウソク消してお願いして」
炎の先でアイツが笑う。
そっと回し吹くようにしてすべてのロウソクを消した。
「はい!おめでとー!!」
どこから取り出したのかフォークを突き刺してひと口分のケーキを上手に切り抜く。
それからおれの口元に運んで来てにんまり笑う。
「いいよ自分で食べれるから」
「いいからいいから」
コイツは1度やり出すと聞かないので大人しく口に含んだ。
甘い風味が口の中に広がる。
「…美味しいよ」
「それならよかった」
満足したように笑ってテーブルの上にケーキを乗せた。
「お前は食べないの?」
「あぁ!後でまた一緒に食べよう」
入って来ると同時に足元に置かれていた紙袋をガサゴソしながら応える。
「あとコレ、プレゼントな!」
にこやかにその沢山の紙袋を目の前に差し出して来る。
それを受け取って中を覗くと色んなものが入っていた。
「こんなにいいのに…」
「俺があげたかったからね!他にも何か欲しいものあったら言って」
「もう充分だよ」
「まだまだ受け付けてるよ?」
にこにこと微笑みながら尋ねてくる。
「んーじゃあ…お金ちょーだい」
ふざけてそう言うと彼は一際笑って
「ふざけんな」
と言った。
何でもいいって言ったじゃないか。
まぁ冗談だけどね。
本当に欲しいのは1つだけ。
「そーいえばさっきはなんてお願いしたの?」
「ないしょ」
曖昧に笑って答えた。

願いなんて決まってる。
この先もずっとお前の側に居れますよーに。
病める時も健やかなる時もお前とずっとずっと共に。
願いなんてこれしか思い付かないよ。



                🐯🐵(1つだけ)

4/3/2026, 10:10:30 AM

「大切なものはひっそりしまっておかなければならないよ。じゃないと誰かに取られてしまうからね」
誰だかその昔そんな事を言っていた。
本当に閉じ込めて誰にも見せれなく出来たらどんなにいいか。

俺はキレイなものが好きだ。
だから男でも女でも関係ない。
ある日突然、俺の前に現れたあいつは女の姿をしてた。
前を通り過ぎるあいつに目が惹きつけられて思わず声を掛けていた。
今思うと一目惚れだったのだろう。
あいつも俺の誘いに乗ってきてその足でバーに向かった。
軽く飲むつもりが楽し過ぎて飲み過ぎてそのままの流れでホテルになだれ込んだ。
あいつが男なのは飲んでる時に聞いた。
普通は隠しそうなものなのに潔い。
そこも気に入った。
ホテルに入っていざ行為に及ぼうとしたその瞬間「ごめん!!」と突然拒否された。
あいつは自分のマイノリティに悩んでた。
自分を着飾るのは好きだ。
だけど恋愛対象が男なのか女なのか分からなかったそうだ。
もの凄くすまなそうに謝り続けるからこっちも申し訳ない気持ちになって、それから友だちになった。
一緒に過ごしてみると外見は申し分無く好みなのだけど、性格も自分とすごく相性がよかった。
一緒に居て心地良かった。
あれから5年。
今日も俺の隣りできらきらと輝いてる。
「なんだよ」
「なにが?」
「ニヤけてこっち見てて気持ち悪りぃ」
「ごめんごめん。今日も可愛いなぁって」
「当たり前だろ。俺は美しい」
にやりと笑いかけて来る。
「はいはい。お前は世界一美しいよ」
俺も笑いながらそれに応える。
あいつの顔を下から見上げてにんまり笑って。
「あの子とはどーなったの?」
語尾をわざとらしく上げる。
最近気になる女の子がいるらしい。
「どーにもなってないよ!!」
可愛らしく頬を染めてぶっきらぼうにそう言い放った。
あーあー耳まで真っ赤だ。
そいつが恨めしいよ。
こいつの顔を赤くするのは俺でありたかったのに。
「俺でホテルで試したくせに」
「それはごめんて!!」
ポツリと恨めしく呟くと逸らされていた目線がまた俺に戻って来て謝って来る。
「俺は今でも好きだけどねー」
「はぁ?それは嘘だろ」
何で通じないかなー。
なんであの子がいいのかなー。
本当に閉じ込めて俺だけのものにしたい。
それからずっと抱きしめて離さないのに。
でも無理だもんなー。
しまっておくのは難しいよ。
いつまで隣りに居られるのかなー。
隣りに居るあいつの顔をそっと見つめてぼんやり想った。



                👠(大切なもの)

4/1/2026, 9:58:48 AM

私たちは政略結婚なのだから愛なんて要らないの。
そんなものあってはいけないの。
皇子には想い人がいて。
私は命の保障とこれから生きて行くためのお金、
それがあればいいの。
なのに何故か最近の皇子対応がおかしい。
気付くと周りをうろついていたりいつも見られてる感じもするし他の人と出掛けたり帰りが遅いと拗ねていたりもする。
ただ手が掛かる寂しがり屋さんなのかと思っていたけど何か違う気がする。
何よりも私自身が、以前までは平気だった皇子と手を繋いだりベッドを共有したりするのに動揺するようになった。
まっすぐに皇子の目を見ることが出来ない。
皇子には想い人が居るのに。
こんな感情は要らないのに。
冷静になって。
大丈夫大丈夫。
私たちはただのビジネスパートナーだから。
皇子を即位させて私が生きて行くためのお金が貯まったらちゃんと離縁するからね。
だから皇子はしあわせになって。お願いだから。
ちょっと胸が痛むけど、きっとそれは気のせいだから。
頑張るから優しい笑顔を向けたりしないで。
お願いよ。



                  💰(幸せに)

3/31/2026, 9:56:39 AM



何でもない振りとかさり気なくとか、
そんなの無理だ。
あんたにおれの気持ち気付いて欲しいもん。
そんな探り合いなんてめんどくさくてやってられないよ。


                (何気ないふり)

3/30/2026, 9:41:08 AM

ハッピーエンドの選択肢。
何が幸せなんかなんて人によってそれぞれだ。
おれはこの男の手を取ったけどそれは本当に幸せだったのか。
なんてことを考えてたら顔を覗き込まれて呆れたように笑われる。
「またなんか難しいこと考えてる?」
「いや、きみはおれと居てしあわせ?」
見上げて問いかけると「おや?」というように不思議な顔をしてそれから笑った。
「なにおかしな質問してんの?当たり前だろ」
くしゃりと髪を乱暴に撫でられる。
「お前が居る、それだけで幸せだけど?」
「それならいいんだ」
おれだって。
きみが居てくれてすごく幸せだけど、
本当にホントにほんとーにきみはおれと居てしあわせで居てくれてるのか。
それだけがずっと気になるんだ。
ちゃんときみはしあわせになれてる?



               (ハッピーエンド)

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