冬至。

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1/12/2026, 9:59:16 AM

                 びーえる風味。



「おいちょっと動くなよ」
少し動いただけなのに後ろの方から抗議の声が上がる。
「おまえなー人のこと風除けにしてるくせに文句言うなよ」
顔ひとつ分下に顔だけ向けて反論する。
「お前の方が大きいんだから思う存分風除けになってろよ」
寒い寒いと身を縮こませながら人の背中にぴとりとくっ付いて寒さを凌いでいる。
確かにここ最近暖かい日が続いてはいたが、時折り冬の寒さを発揮してすごく冷える日がある。
まさにそんな日。
日差しは暖かいのに吹く風は氷のように冷たい。
どこかに出掛けようと元気いっぱい人の家に現れたくせに外に出た途端これ。
「そんな寒いならもっと防寒して来いよ」
ただでさえ細身で寒そうなのに着ているものは明らかに今日の気温には足りてない。
「こんなに寒いとは思わないやん」
俺の家に来るまではどう感じてたんだ?
変わらず寒かったと思うけど?
とは思うけど反論されそうなので黙っておく。
「ちょっとここで待っててよ」
そう言うとあからさまに不満そうな顔で見上げてくる。
「こんなに凍えてる俺を置いてどこに行く気だよ」
まぁまぁと宥めてその辺の陰に避難しときなーと風が当たらないような建物の元に誘導する。
「ちょっとだから。そこで待ってて」
そう言って近場の自販機の元へ。
あいつの好きなココアと自分のコーヒーとを急いで買って戻る。
「ほら」
凍える彼の目の前に差し出すと嬉しそうな顔をして小さな缶を大事そうに頬に当てたり手を温めたりしてる。
「さんきゅーな」
あったかいとか呟きながら小さな温もりで暖を取っている。
それでも見てるこっちはやはり寒そうで。
「こっちもあげようか?」
自分の分のコーヒーも差し出す。
いいの!?と目を輝かせて手を伸ばして来たから。
その手を掴んで自分の幾分大きめのコートのなかに引き入れた。
測らずしも俺に抱きつくカタチになってしまった彼は抗議の声を上げる。
「お前何すんだよ!!」
離せよとジタバタするからちょっと強めに抱きしめて動けないようにする。
「だってお前寒そうなんだよ。見てるこっちが寒い。大人しく入っとけ」
何か胸元でもごもご言ってたけど暖かさに負けたようで。少ししたら大人しくなった。
ちょっと力を弱めてコートのなかを覗き見る。
「ヤローに抱きしめられてんのはアレだけど確かにあったかいな。今日は許してやろう」
何だか偉そうに顔を埋められる。
「そだろそだろ。ヤローに抱きしめられたくなかったらもっと厚着して来いよな」
「それは考えとく」
「何でだよ」
寒い日も案外悪くないなと密やかに笑う。
それを理由に触れ合えるのだから。




              (寒さが身に染みて)

1/10/2026, 9:58:10 AM

             びーえるかも注意報!!


「とりっくおあとりーと!!」
大きな声とともにひょっこり現れたのは大きなオレンジのかぼちゃに三日月の形をした目とギザギザのくちがくり抜かれた被り物。
思わず無言で見つめてしまう。
無反応なおれにひょこひょこと首を傾げながら様子を伺っている。
「お前季節間違えてるぞ」
それしか言うことない。
「どうしたんだこれ」
存外に大きな顔の部分をあちこち触りながら目がありそうな部分を探す。
「これはなんかその…たまたまイベントの片付けしてる人から借りたというか」
歯切れがわるい。
「ふぅん。そーなんだ。でもなんで今頃ハロウィン?」
この辺が目のあたりだろうか三日月型のそれを覗いてみる。
暗くてよく見えない。
口のほうかな?
顔をまじまじ見てたらふいに大きな被り物ごと顔を背けられた。
「それよりこれ。今日の朝ご飯」
目の前に差し出された袋を覗く。
「ありがと。でも別に毎日届けてくれなくていいのに」
そっと受け取った袋を大事に横に置いて隣りにおいでよと手招きする。
素直にこちらに来たかと思うとちょっとした段差に躓いてよろけた。
「その被り物取らないの?危ないよ」
手を伸ばしたら祓われた。
「ごめ…」
「いいけど。気をつけて」
ポンポンと自分の隣りを叩いて誘導する。
ようやく収まった隣りの彼の被り物を軽く撫でる。
「ごはんは食べたの?俺のだけ」
「俺はもう食べたからそれはお前の分」
「いつもありがとね」
「それはお礼だから」
いつも車を出してあちこち送迎してるお礼だと始まったご飯のお届けサービス。
これはいつまで続けてくれるのだろう。
切ろうと思えば簡単に切れてしまう関係。
「いいのに別に。好きで、俺が逢いたくてやってる事なのに」
やんわり頬のあたりを撫でる。
「またお前はそうやって」
身体を押し返される。
「勘違いするだろ」
「勘違いって?」
三日月の目を覗き込む。
ちょっと後ろに身を引かれた。
「俺がお前を好きとか?」
逃がさないようにがっちり腰をホールドする。
それからギザギザのくちを覗き込む。
「好きとか?」
また三日月の形をしたそれに戻って繰り返す。
「そーいうの、どうしていいか落ち着かないから困る」
思わず握った手が赤い。
「それって迷惑って事?」
「そうじゃないけど…」
「ねぇ。ほんとにこれ取っちゃダメ?」
どんな顔で居るのいま。
顔が見たい。



                   (三日月)
    書いてるうちに方向性間違えた(時間ない)

1/8/2026, 9:53:13 AM

「すげぇな、お前」
半ば呆れて目の前に盛られた白い山を見る。
「え…なんで?」
「そんなにナポリタンにチーズ掛けるやつ初めて見たわ」
「これくらい普通じゃない?」
そう言いながらまだ掛ける手をやめない。
もうほとんどオレンジ色は見えない。
雪のようにこんもり盛られた粉チーズ。
「俺もチーズは好きだけどすごいなお前」
ここまで来るとなんか笑える。
「美味しいよ。ほら」
食べてみ?と上手にくるくるとフォークに巻き取られたオレンジと白のそれを目の前に差し出してくる。
自分も同じナポリタンだしと断ろうにも有無を言わせない雰囲気の眼差しで差し出してくるからちょっと考えて目の前のフォークを咥える。
口の中に広がるまろやかな風味。
「まぁたしかに美味しくはあるよな」
その反応を見た目の前の男は満足そうに笑った。
「な!美味いだろ?お前も掛けてみ?」
すかさず俺のナポリタンにも掛けようとするから奴より早く粉チーズを手に取ったつもりだった。
が、掴んだ手の中にはそれは無く無常にも俺の前にも白い山。
「おまえ…まじ…」
もう言い返す言葉も出なくて恨めしげに自分の前のこんもりした雪山を見る。
「いいんだけど、いいんだけどさ俺の適量…超えてる」
「いいじゃんいいじゃん。俺とお揃いで食べよーよ」
にんまりと悪びれもなく笑う。
ちろりと上目遣いに睨んで。
「まぁいいけどさ。お前口にずっとケチャップ付いてるよ」
身体の大きなイケメンが口の端にケチャップ付けてる姿はなんか笑えるものがあるな。
指摘された彼は指で付いたケチャップを指で拭いペロリと舐めた。
そのまま俺の方へと手を伸ばす。
そしてその親指でそっと口元をなぞられて思わず身を引く。
「なに!?」
「お前も口元付いたままだったぞ」
そう言いながらその指をまた舐めた。
「言えよ!!」
目の前の男は焦って言い返す俺の反応に軽く笑って返す。
「いいから食べよー。冷めたら美味しさ半減しちゃうよー」
まだ動揺して口元を手の甲で押さえてる俺に。
「それとも…」
意味ありげな視線を送って。
「食べさせて欲しい?」
にんまり笑った。
「ふざけんな。勝手に1人で食ってろ」
そう言って雪山と化したナポリタンにかじりつくように口を付けた。
満足そうに見下ろしてる奴が恨めしくてアイツの雪山にタバスコをこれでもかってぐらい掛けてやった。
赤く染まる雪山。
衝撃に固まる目の前のオトコ。
イケメンはどんな表情でもかっこいいなーうんうん。
ざまぁみろ。



                     (雪)

1/7/2026, 9:59:37 AM

夜明けが来る前に愛を語ろう。
暗闇のなか、近付くきみと。
その先に感じる熱い視線。
あなたの笑顔に溺れてこれからも過ごしたい。
窓の外にきらめく星にそっと誓いを立てる。
これから先の道のりがどんなに曲がりくねっていても僕は一生かけて君のもとへ歩いていく。
僕はそう決めたんだ。
だから。
あなたに言って欲しい。
僕を愛してると。
その鼓動を隠さないで。
夜明けが来る前に愛を語ろう。

あなたが近づいて熱い息遣いが触れて。
言葉よりも熱い絡まる視線。
心のままに抱きしめよう。
密かにあなたの為に誓いを立てる。
僕はきみの隣りを歩いて行きたい。
だから。
あなたに言って欲しい。
僕を愛してると。



                 (君と一緒に)
                  好きなうた。
         もっと素敵に語源化したかった。

1/6/2026, 9:59:49 AM

縁側にぽかぽかと降り注ぐ日差し。
いつもは冷たく感じる空気も暖かく感じる。
気持ちよくてそのまま外を眺めながら何をするでもなく過ごす。
お日さまの光が身体に心地よい。
思わず目を閉じてうとうとしてしまう。
するとそこに絡みつく腕。
「なに?」
振り返らなくても分かる。
「寝てたんじゃなかったの?」
よく寝てたからそのまま布団の中に置いてった悪友。
昨日遊んでてそのまま寝落ちしたので俺のベッド半分譲ってやった。
どうやらやっと起きたらしい。
「なんで起こしてくれないの?」
後ろから抱きしめるように首筋に顔を埋めて恨みごとを言ってくる。
「よく寝てたからそのままにしといてやったのに」
首筋に掛かる髪を撫でてやる。
唸るような声が聞こえた。
何を言ってるか分からない。
よしよしとさらに撫でてやると。
「起きたら1人とか寂しいやん」
「何だよそれ。そんなの彼女に言えよ」
そう応えたらさらに耳元で唸られた。
何なんだよ一体。

ぽかぽかな陽気の中男ふたりくっついて何してんだか。
そんなこんなで冬晴るる。


                   (冬晴れ)

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