彼方美雨

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5/12/2024, 10:35:24 PM

【エッセイ、詩】子供のままで


人はいつの間に大人になるんだろう?


成人を迎えたあの日も

それから数十年経った今も

私はちっとも変わらないのに


今だってわからない事だらけだし

人生は今も初めてだらけのいつも手探りで

怖いことだらけ


あの日、手を引いてくれた

温かいママの手が恋しくなる


その温もりが

大丈夫だよ、心配ないって

いつも勇気づけてくれていたから


だから手を繋ごう

母よりも大きく温かい君の手

その温もりが君と私にきっと勇気をくれる

この先の見えない人生に共に明りを灯そう

5/11/2024, 10:05:51 AM

【創作】モンシロチョウ

飛び立つ 君の羽は白く

あまりに美しかったから

地を這うだけの醜い僕には

もう二度と届かないものなのだとその瞬間理解した


だけど

その理解に気持ちは追い付くことはなく

僕は君の羽を毟りたい衝動に駆られ

醜い顔を更に歪めるばかり


ああ、僕が君と同じ羽で飛び立てたら…

衝動を夢に換え、目を瞑り僕はただ夢を見る


僕が夢うつつなら

きっと君は幸せになれるから

僕が居ない世界で君だけは自由でいて

5/10/2024, 9:41:38 AM

【エッセイ】忘れられない、いつまでも

忘れられない記憶。
それは良い記憶ではなく、悪い記憶の方が多いんじゃなかろうか。


私はいつも決まった悪夢を見る。

学校。

授業の教科書や体操着を忘れ、友人の少ない私は他のクラスの子に借りることも出来ず、休み時間の終わりが迫る。

…ただ、これだけの夢だ。


それのどこが悪夢なんだろう?って思う人が大半だと思う。
怖いものが出てくるでもない。
ただ不安と焦り、嫌な想いが胸に残ったまま目覚める。
でも、忘れものの多い私には本当に学生時代によくあった事だった。

自分ではそこまで辛かったという記憶はないのに、私は卒業して何年経っても繰り返し、繰り返し、今になっても悪夢としてこの夢を見る。

そこで私にとっては、よっぽど辛かった記憶なのだと初めて認識した。


その夢も最近になって段々と見るペースが減っていっているのは、私が癒やされていってるからだろうか?
それとも単に時の流れに埋もれ、少しずつあの頃の感覚を忘れていっているからなのだろうか?

5/9/2024, 3:58:20 AM

【創作】一年後

1年後の自分に会える。

そんな魔法の様なサービスをとある保険会社が始めたのが10年ほど前になる。

仕組みは簡単で、契約者本人の画像と身長、体重などの健康情報から始まり、アンケートからなる過去に関する情報など、ありとあらゆる精細なデータを取り込んだ上で創り上げた精巧な自分コピーの様なAIと会話することが出来るのである。

データも数を揃えるとどうやら1年程度の簡単な未来予測みたいな事もAIは出来るらしく、それらを反映した形でバーチャルアバターとしてPCの画面に表示される。
正確性はサービス開始当初こそ75%くらいと高くはない数値だったが、今は精度も90%を超えているそうだ。

このサービスにはメンタル面への悪影響も考慮し、1年に1度しかアクセス出来ない。
私はそれを自分の誕生日の日に設定している。

画面内には今と違い、バッサリと髪を切った私のアバターがいた。

「髪、切ったの?」

『うん、なんかそんな気分になって』

アバターの私はちょっと元気がなさそうにそう返事した。
…うん、さては今の彼氏と別れたな?
分かりやすい自分に苦笑する。
でも、このカットは似合ってないから、もし切る時は他のカットにしてもらおう。
…あと、彼との関係は今後要注意ね…。


このサービスを始めた保険会社はこの10年で登録者から集めた個人情報から、別のサービスも始めることにしたらしい。
AIとの会話情報も学習させて精度を更に上げた、コピーのアバターと本人が亡くなった後も話出来るサービスだ。

5/7/2024, 10:53:28 PM

【エッセイ】初恋の日

初めての投稿のテーマが「初恋の日」だとは少し気恥ずかしくも思うが、折角なので思うままつらつらと書き連ねてみることにする。

思えば、私には世に言う「初恋」と呼ばれる甘酸っぱかったり、切なかったりという経験が無かったように思う。
もちろん、恋をしたことがない訳じゃない。
むしろ恋多き人間だった。
何かしらのコミュニティに参加する度、そこで1番好きな男性を選び、密かに恋することが多かった。

だけど、それは単なる「初めての恋」でしかなく、きっと「初恋」というものじゃない。
側に居る中で1番良い印象を抱いた人間を毎回対象として選んでいただけで、彼らのどこが好きだったとか、どこに恋したとかそういう当たり前のエピソードが今思えば何1つ思い出せないからだ。

おそらく私には「恋」をするのに必要な心のどこかが欠落していたんだと思う。
だから、私は恋に恋し続けたんだ。


だけど、今、私はこの歳になって恋をしている。

毎日、好きをくれる、ドキドキさせてくれる、彼に。
恐らく、私の人生で1番最後に最高な恋をさせてくれた彼に。

そしてきっとこれが私の「最初で最後の初恋」なんだろう。

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