海へ
お元気でしたか?最近はお忙しいでしょうね。
私も慌ただしい毎日です、その中でやっぱり
あなたの1部になりたいと思いました。
静かで冷たくて1人で
泡の割れる音の響く暖かで仲間がいる
あなたに解けて溶けてなくなりたいのです。
そうすればきっと私も私を愛せるから、
愛するあなたと一緒になった私を。
また近々会いに行きます。
あまり無理をしないでくださいね。
◯◯より
愛されたかった事を知って愛していた事を知りました。
夜の海は真っ暗で荘厳でまるで
足元に広がる宇宙のようで
寄せては帰す波はまるで
私を呼んでいるような、または
追い返しているような様子で
ただ静かにそれを繰り返していました。
海が家から遠くで良かった、少しは冷静になれたみたい。
膝を撫でる波が私に追い縋るように重く感じるのはきっと
その証拠に違いないと思うのです。
夜の海は変わらず、静かにこちらを見つめるだけでした。
冷えた足で砂を踏み歩き出す私の背中を見つめていました。
月並みだけど、人生を電車に例えたとして。
私はきっと途中下車もできずに、
真っ直ぐ終点に向かっていく。
買い物も、
会いに行く人も、
ただ気まぐれな寄り道もないまま、
終点までの片道切符を握りしめて、
だんだん客の減る快速電車で骸になる。
私は独りでただ終点の花畑を夢に見る。
蝶よ花よと育てられました。
それはそれは窮屈で、
1日3回の餌付け、合間に芸を仕込まれて
帰る花畑は壁に無限に広がっている。
鱗粉を丁寧に払われ、
頭から水をかけられて飛べない私は
青空を夢に見るために今日も眠りにつく。
どんなにつまらないことでも
忘れてはいけなかった、
無くしてはいけなかった。
転がり落ちる小さな石も
夕方に吹く生ぬるい風も
別れの言葉の後の君の表情も
全ては後に気づく大事な合図なのに