今だにふと涙が湧いて溢れてしまいそうになる事があるの。

大人になって世界を知って、
自分を縛っていた鎖が幻な事を知っても、
息苦しさで目を覚ます夜だってあるの。

知らなかった世界の眩しさで
目が潰れそうになることだってあるの。

それも、

あなたの静かな寝息の前では
全部なんともない話なの。

私はわたしの為に生きていいんだっていつも忘れる

あの時あの人がとか状況がとか
そんな風に考える自分の頭がいちばん嫌い

分かっていた。
本当は知っていた、
いつも諦めて目を逸らしていたのは私なんだと。
逃げて、捨ててたのは私の方なんだと。


夢は、いつだってそこにいた。
夢が私を捨てた事なんて、1度だってなかった。

いつでも目をつぶると聞こえる音、それは

通り雨のような、
大勢の慌ただしい足音のような。

新幹線の窓の向こうから女がずっと睨んでくる。