風が運ぶもの
春は名のみの風の寒さや〜♪
気温は高いのに、北風が吹いて、退勤のときに非常に寒い。
この時期、風が運ぶものは寒さ。天気予報で、最高気温、最低気温はチェックしているけど、風が冷たいと、体感温度とモチベが下がる。
今日はカヲルを誘ってランチでもしようかと思っていたけど、ちょっと洗濯物を干すのに、つい軽装で出たら寒い、寒い!
今日は家で籠もっていよう。
No.129
question
ふと疑問が浮かんで、ハルカに聞いてみた。
「例えば、推しのコンサートがあっても遅れていくのか?」
「安室ちゃんに会うためなら、頑張って定時に行く!」
「ふぅん、実は、オレのこと、そんなに好きじゃないの?」
「何を言い出すのよ、タカシ。いつも愛してるって言ってるよね」
ハルカは、泣き出してしまった。
「ごめん、泣かないで。でも今『安室ちゃんに会うためなら』って言った。そしたらタカシに会うためなら遅れて良い、って言う理論にならないか?」
「安室ちゃんとタカシは、同じじゃないもん」
泣きながらハルカは去ってしまった。
う〜ん、オレのquestionは間違っていたか?
オレだってハルカと別れたいワケじゃない。とりあえず、追いかけるか。
(昨日の続き)
No.128
約束
あら、時間の約束なんて、ただの目安よ。
3時間も遅れてきて、ハルカはうそぶく。
彼女が沖縄出身で、沖縄ではみんなそうだと聞いたことはある。でも実際にこんなに待たされると頭にくる。
だが、ハルカの沖縄時代は、3時間遅れても「やぁ!」「さぁ行くか!」って、待たせた方も待った方も何事もなかったように歩き始めるらしい。
「でもさぁ、早く来れば、その分オレと過ごせる時間が多くなるんだけどな」と、やんわり言ってみたことはある。すると「タカシと会うのは楽しみだし楽しいんだけど、それとこれとは違うのよ」
うーん、何が違うんだ?
「オレ以外の友達を待たせて、怒られたことない?」
「あるわ、その時なんて1時間ぐらいだったのに、怒って帰っちゃった」
「だよなぁ。相手は会いたいほど、待たされたら怒るだろう?」
ふと気づいたんだが、沖縄の人は時間を守らないのは分かるとして、目安だと言うなら、逆に1時間早く来て待ってるなんてことは無いんだな。
次回は、10時と思ったら9時、3時と思ったら2時とハルカに言えば良いのかな。3時間のところ、2時間待つだけで済むぞ!
No.127
ひらり
城趾の石の上に2人並んで座ろうとした時だった。彼が、真っ白いハンカチを広げて、私の座るところにひらりと置いた。
「いいよ、乾いてるし」
「いいから座ってよ」
「いや、悪いから」
「ナイトっぽくてカッコいいなって、1回やりたかったんだ」
「すんごく座りにくいの!分からない?」
思わす私が気色ばんだので、さすがに彼はハンカチを引っ込めた。
ご親切にありがとう、とはいかない。まして、そこに座るのは無理。人のハンカチに自分のお尻を乗せるなんて、居心地が悪すぎて、ずっと立っていたほうがマシだ。
ここが欧米で、彼や私が日本人じゃなかったら、ごく自然にコトが流れるのかも知れないけど、私たちじゃ無理。
彼にハンカチひらりは、100年早いって!
No.126
誰かしら?
ある晴れた日のことだった。一通り家事を終えて、私は、リビングのテーブルでコーヒーを飲んでいた。晴れて気持ちのいい日は、よくこうする。
リビングの窓がうちで1番大きく、掃き出しになっているので、高さもある。大きいとは言え、一間(180センチメートル)程度の窓だけど、庭の隅の紫陽花や、奥にあるダイダイの木が鮮やかに見える。足元にはオキザリスもある。西洋シャクナゲも時期が来ると、誇らしげに花開く。
そんな景色を、のんびり眺めている時だった。紫陽花の植え込みの奥を、人が通って行った気がした。
「誰かしら?」
白昼だったからか気が大きくなり、リビングの窓を大解放して「どなたぁ?」と叫んだが、誰も出て来る気配が無く、諦めて施錠した。
その後も何度か、その影を見た。どうも背格好から子ともじゃないかと思ったら、不気味さとか怖さは無くなった。
お〜い、お菓子あげるよ〜!おいでよ〜!
とも言ってみたが、誰も来ない。
そのうちに、誰でもいいと思い始めた。もしかしたら、この庭に住み着いた妖精さんかも知れない。干した洗濯物に悪さをするわけでなく、庭の草木を傷めるわけでもないから、「また来てるのね!」と、言葉に出さないが歓迎するようになった。
心なしか、ダイダイやシャクナゲが生き生きしてきた気がする。花はまだだが、木に力が出てきたというか、良いことだね
No.125