シャイロック

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6/4/2025, 3:31:20 AM

約束だよ


No.216

6/2/2025, 12:40:58 AM

雨上がり

 一瞬の通り雨、熱いビルの壁や道を冷やすには少し足りなかった雨上がり。
 私は、アスファルトから立ち上る、土と他の何かが混じった不思議な匂いが好きだ。雨宿りしていたコーヒーショップから出て、その匂いの中を歩く。
 今日は暑いから、一雨降って、元気がなかった街路樹か生き生きしている。
 雨上がりって、元気になれる。

No.215

6/1/2025, 4:39:12 AM

勝ち負けなんて

 勝ち負けなんて、一所懸命やった結果ならなんでもいいよね。と、私は思っていた。
 息子が6年生のとき、クラス対抗バスケットボール大会があった。彼のクラスは2位だった。2位ならまぁまぁだねと、私は祝福モードでいた。
 ところが、担任は体育教師で、勝ち至上主義だった。生徒の前で「優勝しないと意味が無かったんだよ。2位の賞状なんか要らないよな」と、賞状をビリビリに破り捨てた。
 帰ってきた息子にその話を聞いて、私はショックを受けた。そんなに、優勝って大事なの?朝練して、試合も頑張って一所懸命やったよね?その努力が、全部水の泡ってこと?
 もう20年も前の話だが、今でも私は勝ち負けなんて、と思っている。

No.214



まだ続く物語

 私と貴方の関係は、まだ続く物語
 きれいで楽しくて、甘くて幸せで
 でも、貴方は居ない
 なんでこんなに突然に?
 でも私は幸せの記憶を抱えて
 生きていく
 まだ続く物語だから

No.213



渡り鳥

 アキラってば、渡り鳥みたいにあちこちの女を渡り歩いて、何をしてるの?
 でも、私が一番って言ったもんね。だから私は、季節が巡って、またアキラが渡ってくるのを待ってる。

No.212

5/28/2025, 7:15:22 PM

さらさら

 不細工で小さく、何の取り柄もない高校時代の私。
 ま、50年経っても、そんなに取り柄はないけどね。
 ある日、ご近所の小学生女子をお持ちのお母さんに話しかけられた。顔を見れば挨拶する程度の間柄だったけど…。
「娘がね、めぐみさんの髪がさらさらできれいで、ああいうふうになりたいって言うのよ」
その頃私は、腰まであるロングヘアを垂らして歩いていた。高校では縛っていたが、ぎゅっとしばる感覚がいやだったから。
 親は、褒めるところなど1つも無い!と、いつもけちょんけちょんに潰すようなことを言っていたので、自分にほんの少しの自信も無かった私は、お母さんのその言葉を聞いて、ぱぁつと光明が差した。

No.211

5/28/2025, 3:37:02 AM

これで最後 

 「考えられる限りの検査をしました。未だに原因不明です。処方できる薬は、これで最後です」
 原因不明はキツい。元が分かれば対処法もあるだろうに、抗生物質をいくつも処方されて、どれか当たれば。という状態。
 処方出来る薬がもう無いということは、効かなかったら治らない、ということで良いのだろうか?
 私は「これで最後」の最初の一錠を、緊張しながら飲み下した。

No.210

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