さあ行こう
たぶん生涯で一番弱っている時なので、前向きなテーマは無理だ。
さあ行こう、病院に!
No.219
水たまりに映る空
ものすごい雷雨に見舞われ、店の軒先で雨宿りさせてもらったが、風で雨が飛んできて膝から下はびしょびしょだ。こんな雨の前には、携帯傘ではまったく対抗出来ない。
「チクショー!次の〇〇商会に行くのに、どーすんだよ、これ!」
オレはズボンから滴る雨水を見ていた。
雷も雨も下火になったから、まだ降っているが歩き出した。相手の会社に電話したら、日程を改めてくれた。いつの間にか雨は止んでたんだな。
駅前に、大きな水たまりが出来ていて、青空が写っていた。こんなに、天気良くなるならよー、雨半分にしてくれても良かったじゃないか!
つまらないことをつぶやきながら、改札を通った。
No.218
恋か、愛か、それとも
相手が好きなことに間違いないんだけど、恋は恋愛対象、愛はそれが進行したときと、そして家族への愛
No.217
約束だよ
約束だよ、って言ったよね。言ったのはショウ、あなたの方よ。
「オレ今、仕事乗ってるしさ。30までは結婚しない。でも、する時はカンナ、君とだけだ。約束だよ」
そうか、じゃ、30まで待つか。あと6年もあるけど。
デートは重ねているけど、古い考えの父親に「良いのか?そんなにのんびりしていて?女の年は腐るんだぞ」なんて言われたり、なんとなく不安だった。
ショウと同い年なので、29歳になったとき、とうとう口に出してしまった。
「やっと、あと1年で結婚できるね」
あの時のショウの顔を忘れはしない。
「は?」
私はその顔に狼狽して、何も言えなくなった。
ひどく冷たく軽蔑のこもった目だった。
「あれ信じて待ってたの?」
「だって、ショウがそう言ったんだから、待ってたよ。あなたのこと好きだから」
「ああいうことは、誰でも言うんだよ。世間知らずだな。オレ会社の役員の娘と、いま婚約準備中なんだよ。ごめんな」
ごめんなって・・・!でも言い出したら聞かないショウの性格は良く知っている。5年の間に、言い寄って来た人も数人居た。ショウのために断ってきたのに。
約束なんてもうしない。それが嬉しい約束でも、こんなことになるかも知れないから。
No.216
雨上がり
一瞬の通り雨、熱いビルの壁や道を冷やすには少し足りなかった雨上がり。
私は、アスファルトから立ち上る、土と他の何かが混じった不思議な匂いが好きだ。雨宿りしていたコーヒーショップから出て、その匂いの中を歩く。
今日は暑いから、一雨降って、元気がなかった街路樹か生き生きしている。
雨上がりって、元気になれる。
No.215