毎日あっついですねぇ〜!
これぞ夏!って感じで、たぎりますね!
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うんうんうん、分かります!
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ただいま、夏!
真っっっ盛り!
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おいでませ海の家『太陽に恋して』
皆々様のご来店をお待ちしています!!
ぬるい炭酸と無口な君
「あっま。ぜんぜんシュワシュワしないー」
オールで遊び倒して、朝だ。
「自販機はキンキンに冷えてなんぼデショ!?ぬるいの出てくるとか詐欺すぎ。マジやばくね?」
きゅるんとした真ん丸お目目さんの手乗り猫ぬいに話すオレの方が、マジやばかもしれんけど。
「キミさー、ご主人様にそっくりすぎな。ぜんっぜんお喋りしてくんねー。見つめ合うと素直になれない感じ?」
あと、5分だ。
始発の君。
先週、コイツを落とした女の子。
ツヤサラロングの黒髪、猛暑予感する朝でも、首とつく部位を全て隠した花柄ワンピースを着た、ザ清楚!のあの子。
一目惚れってやつ。
しちゃってから、結構経つ。
オールして時間合わせて、今日も待ってるんだけど。
「なー、ご主人様って何がすき?チョコミント?よりもアナ…ッ」
カツンと。
ヒールの音が隣から。
なんか、いい匂いもして。
恐る恐る見れば、あの子が立っていた。
目が、合う。
何も言わず、視線が手乗りぬいを見て、また俺に戻る。
「お!お疲れっす!サイダー飲みます?」
こころのじゅんび!
できてなかった!!
ああでも、無表情しか見たことなかったのに、ちょびっとだけ目を丸くして驚いてるっぽいの、すごくカワイイ。
手のひらズイッと出してくるから、なまぬるサイダーを渡してしまった。
綺麗なネイルの指さきが、キャップを開ける。
カシュ!の音すらしないしないそれを、彼女はためらいもなく口元に運ぶ。
つやつや、ぷっくりした唇が、開いて。
「!?」
飲むかと思いきや、現れた舌が。
レロリと舐める。
ごつめの舌ピアスが飲み口に当たり、カツンと鳴った。
無表情が笑んでいる。
凄く綺麗で。
凄くこわい。
こわいけど、もう。
波にさらわれた手紙
「先輩!」
海辺の高校から、堤防沿いの歩道へ。
帰路につく後ろ姿を追いかけて、声をかけた。
「これ、読んでください」
極度の緊張で可愛らしさの欠片もない顔なんて見せられなくて、俯きがちに手紙を差し出す。
「俺に?」
戸惑いがちの声に、こくり。
あからさまにならないようにと考え抜いて、爽やかなブルーの封筒に包んだ、私の気持ち。
が。
びゅわり。
吹き飛ばされた。
突風に煽られて、海の方へとひらりひらり。
ぺしょりと、濡れた砂浜に落ち。
サバンと、小波に喰われて消えて行った。
「え」
体感、秒の出来事だった。
「ごめん!」
慌てて砂浜に降りようとする先輩のカバンを、咄嗟に掴む。
「え」
「あ」
ななな、なんで引き留めちゃったんだろう。
でもでも、びしょびしょのラブレターなんて。
おろおろして、離した私の手を。
今度は、先輩がつかんだ。
「手紙、ごめん」
「いいいい、いいえッ」
「直接、聞かせてくれる?」
まじか!!
波よ、手紙を返してくれ!!
8月、君に会いたい
揚げなす。
君しか勝たん。
盆の帰省。
山奥のばあちゃんち。
ばあちゃんが作ってくれる、揚げなす。
もちろんなすは、ばあちゃんの畑から。
朝どりの、ツヤッツヤな、七三ヘアがバチッと決まった紳士めいた、イケなす。
厚めの輪切り、そのまま素揚げ。
濃いめの焼き色、びったびたに油を吸った、なす。
煮浸しなんかにはしない。
そのまま、生姜醤油でいただく。
相棒は、もちろん白米一択。
余計なものはなにもいらない。
ビールすらじゃまである。
熱によってとろけた果肉と、油がからみあい、
じゅわりと広がる甘味を、生姜醤油がピリリと引き締める。
米、米が進んで仕方ない。
美味いかい?
にこにこの笑顔で聞いてくるばあちゃんという存在が、
何よりのうま味調味料。
盆が待ち遠しい。
眩しくて
まっすぐな眼差しが突き刺さる
負を顧みぬ心根にえぐられる
その無限の可能性に呼吸をわすれる
若さに
息の根をとめられる