今年の抱負
世の中では年末年始で何連休だとか騒がれているが、学生にはそんなものは関係ない
特に受験生にとってはこのお正月がラストスパートで、ここでいかに踏ん張るかが鍵となってくる
かくいう私も絶賛勉強中の受験生である
少し疲れてきて休憩しようかと時計を見ると、15時を指していた
おやつの代わりに昨日家族が初詣に行ってもらってきたみかんを頬張りながら、スマホをいじっていると、大学駅伝のニュースが目につく
大学…部活か……
ふと冬休み前にある人物に言われた言葉が頭の中でリフレインする
『先輩は大学入ったらマネージャーやらないんすか?』
入りたくないわけじゃない、でも大学に入ったらバイトもしたいし、授業だって高校とはレベルが違う
親に学費を払ってもらうんだから、しっかり勉強もしないとだし…
やりたくないわけじゃないのに言い訳ばかりが浮かんでは消えていく
いつの間にか手元のみかんはなくなっていた
去年の夏、私が所属する野球部は三回戦で敗退した
毎年一回戦負けだったから頑張った方である
それでも、悔しかった
どんなに同級生に馬鹿にされようとも、今年のメンバーは一学年下のエースを中心にベストメンバーだった
絶対、絶対行けるって信じてた
試合に負けた後、涙を流すわけでもなくただひたすらにマウンドを見つめる部員を見て
もっと私に出来ることがあったんじゃないか、もっと部員のためになにか…と後悔が押し寄せた
夏予選大会が終わった後、私は引退した
それから夏の大会のことを忘れるかの如く受験勉強に集中し、12月の模試では第一希望の大学でA判定をとるまでになっていた
終業式の日、帰るために下駄箱で靴を履き替えていた時
野球部の後輩に声をかけられた
『受験勉強、順調すか?先輩全然部に顔見せてくれないから。たまには来てくださいよ、息抜きに。みんな喜びます。』
「あー、うん。中々勉強が忙しくてさ。もうちょっと頑張らないと第一志望が危うくて。時間出来たら行くね。」
うそ、この前の模試A判定だった
心の中で謝りつつ、この気まずい雰囲気から逃れようと足を踏み出そうとした
その時今まで表情が見えなかった彼がまっすぐ私の顔を見て言った
「先輩、大学行ったら部活入る気ないってほんとですか?先輩は大学入ったらマネージャーやらないんすか?俺はてっきり続けてくれるものだと…』
誰から聞いたんだと驚きながら、逸らしてくれない彼の目をしばらく見つめる
「まぁそうね…今のところは入る気はないかな…。大学に行ったら色々忙しいだろうし。」
と観念して答えると、意味が分からないというような顔で彼が口を開こうとしたが
「ほら、もう練習の時間でしょ。みんな待ってるだろうし早く行きな。」
と何か言われる前に逃げるように立ち去った
そこから先どうやって家に帰ったか覚えていない
ただ理由もわからず涙が止まらなかったことだけ覚えている
16時半を知らせる街の放送が流れているのが聞こえた
ずいぶん物思いに耽っていたようだ
ふとスマホを見てみると、あの後輩から連絡が来ていた
『あけましておめでとうございます。挨拶遅れてすみません。今年の俺の目標は絶対負けないことです。試合見に来てください。』
またしても涙が止まらなくなった
あぁ…止まっていたのは私だけだった
貴方達は、貴方はそういう人だよね
そう思った瞬間、私は駆け出していた
冬の日は短くもう外は真っ暗
学校に向かって走る私の息は白い
グラウンドの明るすぎるライトが見えてくる
冬休みにも関わらず練習に勤しむ部員達
その背中が今の私にはとても眩しくて
思いっきり息を吸って叫ぶんだ、頑張れって
来た道をゆっくり帰りながら笑みが溢れる
…私の目標も決まったよ
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19時を過ぎてしまいましたが
せっかく書いたのでUPします
私は野球部のマネージャーどころか、何のマネージャーもやったことないのでお手柔らかにお願いいたします…
マネージャーやってみたかったな…
この子の目標は何になったか、良ければ皆さんで考えてみて下さい
良いお年を
ぐつぐつと野菜と鴨肉を煮込んでいく
冬の鍋は格別だ
すっかり12月31日の夕飯は鴨鍋が定番化している
目の前に座る彼と向かい合わせで鍋をつつくこの時がどうしようもなく幸せだ
そんな幸せを1人噛み締めている間に、どんどん鍋の具材が減っていく
『なぁ、なんで”鴨鍋”なの』
「えー、特に理由なんてないけど、鴨とお野菜のお出汁が出て美味しいでしょ?しかもこの後はそのまま年越しそばできるし」
せっかく答えたのに、ふーんと興味のなさそうな返事をされる
『なんか理由があんのかと思った』
「理由って?」
『いやお正月的ななにか』
「ないよ、そんなの」
そう言って私がふっと笑うとそれもそうかと納得する彼が
『まぁ理由なんてなくてもこうして来年も向かい合ってご飯食べられれば何でもいいか』
と言うので私も嬉しくなる
同じこと考えてた…嬉しい
先ほど食べた鴨を噛みながら、しばらく嬉しさを噛み締めていると
『昔は2人とも年末は実家帰ってたから、良いお年を〜って言ってたよな。今は毎年のように同じ鍋つついて”良いお年を”じゃなくて”あけましておめでとう”って言い合えるのが嬉しいよ』
とまた彼が嬉しくなることを言ってくれる
「今年、どうしたの…突然…」と少し赤くなった顔はお鍋で熱くなったせいにして尋ねる
『…今日の占いで思ったことは口にした方がいいって…今年も終わるしたまには良いかと思って…』
と彼もまた顔を赤らめながら答えた
2人して顔を赤くしてもじもじしてるこの状況に耐えられず笑い出す
来年もこんな穏やかな日々が続くと良いな
『来年もこんな穏やかな日々を過ごせるといいな』
はっと彼の顔を見て、しばらくそのままでいるとどうしたの?と聞かれる
「何でもない」と笑って返す
なんでもない時間が幸せだ
来年も再来年もその先もなんでもない日々を貴方と過ごしていく
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あけましておめでとうございます!
本当は昨日のうちに出したかったのですが、バタバタしていて今日になってしまいました…
まだこのアプリを始めたばかりで、拙い文章なのにハートを下さる皆様本当にありがとうございます!
今年も自分のペースで書いていけたらいいなと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
1年間を振り返る
コンコンとドアがノックされた音で目覚める
いけない、机で寝ちゃってた…
もう一度コンコンというノックの音がして、頭が冴えていく
「はい、どうぞー」
ガチャリとドアを開けて入ってきたのは幼馴染だった
「どしたのー?」
『いや、みんなこれから除夜の鐘聞きに寺行くって言うから…ってかまたそれ書いてたのかよ』
そう言って机の上にあるノートを取り上げる
「ちょっと、勝手に見ないでよ」
『いいじゃん別に、見られて恥ずかしいもんでも書いてんのか〜』
ニヤつく彼からノートを取り返そうとするが、この身長差ではかないっこない
『あんたまた身長伸びた?1年でどんだけ伸びんのよ、、昔はこーんなにちっちゃかったのに』
と豆粒を摘むようなジェスチャーをすると
馬鹿にすんなよと少し拗ねるから、まだまだ子供だなと笑う
同い年なんだけどね
この1年で15センチ伸びたと言う彼の視線はノートの文字を読むために行ったり来たりしている
時計の針があと5分で0時を指そうとしていた
「そんなまじまじ読まないでよ…恥ずかしいじゃん…」
『いや、案外きっちり書いてんだなと思って。1月1日から今年1年間のこと。学校での出来事とか家族のこととか。まぁ昔から周りのことよく見てたからそんな意外でもないか』
…え?
そんな風に言われるなんて思ってなかった
もうずっと家族みたいな距離感だったから彼にとっては何気ない言葉でも心臓がバクバクする
…顔が熱い…
『ん。返すわ。…どした?顔赤いけど』
いつの間にか彼は私のノートを読み終わっていた
「なんでもない!そういえばお寺行くんだったよね!もうすぐ0時なっちゃう!早く行こ!」
赤い顔を極力見られないように部屋を出て行こうとすると腕を掴まれる
「なに?早く行かないと間に合わなくなっちゃうよ?」
『来年からはやりたいことノート書けよ』
…ん?急に何言ってんだ?
『だから!来年は恋人とやりたいことノート、毎日書いて。それ全部俺が叶えるから』
なにを、言っているんだ本当に
何か言わなくちゃいけないのに、私の小さい頭じゃ処理しきれなくて
毎日日記書いてた語彙力はどこにいったの…こういう時こそ出てきてよ…てか顔あつ……
ゆでだこのようになっている私を見て、ふっと微笑む幼馴染
『ほら、行くぞー』と私の頭をポンと撫で、先に部屋を出て行った
触れられた手の感触がまだ残ってる
そこに私も手を乗せてみる
ほんの少しまだ温かい
新しいノートあったかな?
ノートの題名はもちろんー
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あとがきのような反省
1年間の振り返りと言いつつ全然振り返ってない2人になってしまって反省
日記の中身がこの一年の日々の出来事なので、幼馴染くんは彼女の1年間を振り返ることが出来たということで、、、次は頑張ります
みかん
「ふぅ〜寒い寒い」
そう言いながらこたつに入る貴方
今年の冬は暖冬だと言うけれど、それでもやっぱり夜は冷える
今年も例年通り出したこたつで2人仲良くテレビを観る普通の日常が温かい
『なんか面白い番組やってる?てか足冷たすぎじゃない?』
「ふふ、だって私もさっき入ったばっかりだもん」
最初は触れただけだったが、段々面白くなってきてわざと足を絡ませてみる
『おいやめろよ〜冷たいだろ』と満更でもなさそうな顔で言う貴方
冷たいと言いつつ離してくれない足に嬉しくなる
ふと、こたつの上にあったみかんに彼が手を伸ばした
『みかんってさ、美味しいけど食べたあと手がみかん臭くなるよな〜』と彼が言うので
私もみかんに手を伸ばす
手臭くなるぞとニヤつく彼に微笑んで返す
いいの、だって一緒がいいから
冬休み
「よし!いってきます」
あっという間に時が過ぎ去り、2学期が終わりを迎えようとしていた。
今日は終業式だ
長い長い担任の話を右から左へと聞き流しながら、私は鞄の中のある物に思いを馳せていた
どうしよう…明日から冬休み…このチャンスを逃したら…
思考を強制的に停止させるようにチャイムが鳴った
クラスメイト達は明日から始まる冬休みについて話しながら帰り支度をしていく
先ほど中断された思考がもやもやと宙ぶらりんのまま揺れている
『ねぇねぇ、これからうちらカラオケ寄って帰るけど一緒行く?』
「あー、今日はちょっと…ごめん…」
『どした?具合でも悪い?HR中も上の空だったし』
「いや、そういうわけじゃないんだけど…」
『そっか、具合が悪いんじゃないならいいや!じゃ次会うのは冬休み明けだね!』
「うん、ごめんね。カラオケ楽しんで!また冬休み明けに!」
心配させてしまったかと少しの反省もありつつ、心の奥を見透かされないように下手くそな笑顔で元気良く答えた
いかんいかん今日こそはって決めたじゃない
そう自分に言い聞かせ、下駄箱の前に立って
鞄の中から薄ピンクの手紙を取り出す
我ながらベタだなぁとは思うけど、面と向かって言う勇気は無いし、返事が欲しいわけでもない
ただ、伝えたかっただけなのだ
何度も何度も書き直して何回も渡そうとして断念したから手紙は少し寄れている
それでも前に進みたいから
私は下駄箱をそっと開けた
開けた先はきっとー